パラノイア(英語表記)paranoia

翻訳|paranoia

デジタル大辞泉 「パラノイア」の意味・読み・例文・類語

パラノイア(paranoia)

内因性の精神病の一型。偏執的になり妄想がみられるが、その論理は一貫しており、行動思考などの秩序が保たれているもの。妄想の内容には、血統・発明宗教嫉妬しっと・恋愛・心気などが含まれ、持続・発展する。偏執病妄想症

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精選版 日本国語大辞典 「パラノイア」の意味・読み・例文・類語

パラノイア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Paranoia ) 精神病の一つ患者が抱く妄想は論理的には一貫しており、行動・思考などの秩序が保たれているもの。偏執病。妄想症。
    1. [初出の実例]「過劇なる心労にて急に起りし『パラノイア』といふ病なれば」(出典:舞姫(1890)〈森鴎外〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「パラノイア」の意味・わかりやすい解説

パラノイア
paranoia

精神障害のうち,体系的な妄想観念で終始する病態で,それゆえ〈妄想症〉と訳される(以前は〈偏執病〉の語も用いられた)。ただし,語源的には,パラpara(錯誤)+ヌースnous(精神)で,古代ギリシアでは狂気一般を指す言葉として用いられた。18世紀後半には体系的妄想を伴うすべての精神障害がパラノイアに含められたが,その後,概念はしだいに狭まって,クレペリンにいたり〈内的原因から発生し,思考,意志,行動の秩序と明晰さが完全に保たれたまま,徐々に発展する揺るぎない妄想体系〉と定義される。妄想の主題は血統,発明,宗教,好訴,恋愛,嫉妬,心気,迫害などで,40歳以後の,とくに男性に多いとされる。しかし,この規定にかなうケースは少なく,ガウプの観察した有名な〈教頭ワーグナー〉(1914)などがその典型として挙げられるが,それ以後,日本をふくめて世界的にほとんど報告例を見ない。それにもかかわらず,パラノイアはかつての人間的狂気の典型として今なお精神医学のなかで特異な輝きを失っていない。
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百科事典マイペディア 「パラノイア」の意味・わかりやすい解説

パラノイア

偏執病(へんしゅうびょう)ともいう。妄想(もうそう)を主徴とする精神病で,情動・意志面の障害は少ない。多様な定義があり,たとえばE.クレペリンは,内因性に発病し,慢性に発展する妄想体系を示し,それ以外の症状人格変化を全くきたさない疾患であるとした。そのほか統合失調症精神分裂病)や躁鬱(そううつ)病との関係がいわれることもある。なお,偏執狂(モノマニア)は偏狂ともいい,一つの物事にだけ異常な執着を示す精神症状をいう。

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家庭医学館 「パラノイア」の解説

ぱらのいあ【パラノイア】

 強固で体系化した妄想(もうそう)が持続するものをいいます。
 妄想の内容は被害妄想(ひがいもうそう)、誇大妄想(こだいもうそう)、恋愛妄想(れんあいもうそう)(ある人から愛されているという妄想)などいろいろで、1つのテーマの妄想をもとにして、周囲の出来事をどんどんそれに関係づけていき、妄想が広がっていきます。妄想に基づいて、訴えをおこしたり、人とトラブルをおこすことも少なくありません。
 妄想以外では、話はまとまっており、人格(コラム「人格とは」)の水準もさほど低下しておらず、ふつうに生活や仕事をしている人がたくさんいます。統合失調症の妄想型の1つとも考えられますし、統合失調症とは別の病気であるという考え方もあります。

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