シリア中部にある都市で、同国の西部と東部を結ぶ戦略的要衝。シルクロード上に紀元前1世紀~紀元3世紀に栄えた都市の跡であるパルミラ遺跡は世界遺産に登録されている。過激派組織「イスラム国」(IS)が昨年5月にパルミラ市街地の全域を制圧し、バール・シャミン神殿やベル神殿など一部の遺跡を破壊した。アサド政権軍は反体制派との一時停戦が今年2月末に発効した後、ロシア軍による空爆支援を受け、パルミラへの攻勢をかけていた。(共同)
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シリア砂漠の中央にあるオアシス都市。現在シリアに属し、タドモルとよばれる。イスラエル王ソロモンは東方物資輸入の前線基地とした。紀元前1世紀ごろからシルク・ロード上の中継交易都市となり、ローマ帝国とパルティア帝国、続くササン朝ペルシア帝国との抗争に際してはローマ側の傘下に入って急速に発展した。3世紀後半に登場した女王ゼノビアはローマ帝国に独立を宣言したが、アウレリアヌス帝に攻略された。都市構造、政治形態、宗教、言語、美術を含む文化全般に、ギリシア、ローマ、ペルシア、エジプトなど東西文明の影響がみられる一方、シリアの伝統を継承するパルミラ独特の性格が認められる。遺跡の墓室から漢代の中国製絹織物が出土している。なお、パルミラの遺跡は1980年に世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)として登録されたが、内戦により甚大な被害を受けたとして、2013年には危機遺産リスト入りしている。
[小玉新次郎]
『小玉新次郎著『パルミラ』(1980・近藤出版社)』
南アメリカ北西部、コロンビア中西部、カウカ川中流域にある都市。人口27万1681(1999)、31万2507(2019推計)。カリ市の北東30キロメートル、アンデス山脈中の標高915メートルに位置する。インター・アメリカン・ハイウェーに沿い、タバコ、コーヒー、砂糖、米、大豆などが集散される。熱帯農業大学がある。市内をタクシーと並んで馬車が旅客交通に利用されていることで知られる。郊外に日系人の集団移住地があり、野菜、果物を生産している。
[山本正三]
コロンビア西部,バジェ・デル・カウカ県の都市。大都市域人口29万4805(2005)。1794年にアメリカ資本がタバコ生産を始めるまで一寒村にすぎなかったが,カウカ河谷地帯の開発とともに発展した。このあたりの河谷低地部ではサトウキビ,米,タバコ,トウモロコシなどが栽培されている。なお,ここには1929年以来,少数だが日本人が入植して,大豆,スイカ,花などを栽培し成功している。
執筆者:上谷 博
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パルミュラとも表記される。1~3世紀にシリア砂漠のオアシスに栄えた隊商都市。パルミラ商人はシリアとメソポタミアを結ぶ交易だけでなく,ペルシア湾からインド北西部へかけての海上でも活躍した。3世紀半ばすぎのゼノビア女王の時代には,シリアを征服しエジプトにまで進出したが,272年アウレリアヌス帝の指揮するローマ軍に敗れ,翌年破壊された。
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…270年以後皇帝に推挙され,バンダル族やユトゥンギ族の攻勢を退けたが,その際,ローマ市の城壁を再建したことは名高い。さらに,女王ゼノビアの率いるパルミュラを破壊したことは彼の声望を高めた。彼は軍人皇帝時代の数十年に及ぶ混迷期にあって,帝国の統一に統治者としての才能を示したことで〈世界の再建者〉と呼ばれた。…
… 南アラブは前8世紀のころから一連の古代南アラビア王国を建設したが,その繁栄の基礎は灌漑農業と遠隔地通商にあり,のちのアラビア文字とは異なる独特の文字で記した多くの碑文を残している。北アラブはシリア砂漠を包む広い地域で遊牧生活を送り,ヘレニズム時代にはナバテア,パルミュラの両王国を建設し,ともにアラム文字で記した碑文を残している。4世紀に南アラブの国家と社会は崩壊し,南アラブの一部は遊牧民となって北方への移住を余儀なくされた。…
…また,海面下の地溝では局地的に熱帯性気候が見られ,川沿いの緑と周囲の茶褐色の山肌とが著しい対照をつくり出す。その東側は遊牧民と隊商都市(パルミュラ,ダマスクス,ボストラ,ペトラ,ゲラサ)の世界であった。そこと海岸部,とくにフェニキアの海港都市とは,山間の道路網で結ばれていた。…
…狭義のパルティア美術はこの後期のものを指すが,その本質は〈グレコ・イラン的〉,〈グレコ・オリエンタル〉などと規定されている。パルティア美術は従来,ギリシア美術の堕落した形式とみなされていたが,シリアのドゥラ・ユーロポスやパルミュラの発掘研究が進展した1930年以降は,別の価値観,イデオロギーに基づく独自の意義を持った美術として再評価されるに至った。 イラン系(後期)の美術は,ほぼ次のような特色を有する。…
※「パルミラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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