パンク(英語表記)punk

翻訳|punk

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

1970年代なかば,イギリスを中心に登場したロック音楽一種商業主義に走り,社会的なメッセージ性が希薄になった従来ロックに対して,社会に対する不満や怒りを過激に表現するロックで,広義にはその運動,ファッションなどを含めていう。代表的なバンドに「セックス・ピストルズ」「クラッシュ」などがある。

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知恵蔵の解説

1970年代、ロンドン若者や失業者などが熱狂的に支持した、ロックと破壊的なストリートファッションのスタイル。パンクロック流行と共に、反骨精神の象徴として世界的に広がった。鋲打ちの革ジャンパーやベルトチェーン飾り、また、派手なヘアカラーや歌舞伎を模倣した隈取りメークなどが特徴的。

(上間常正 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

《くだらないもの、不良などの
パンクロック」に同じ。
伝統を無視し、奇妙な服装行動体制に反抗する若者。
[名](スル)punctureから》
タイヤのチューブに穴があいて空気が抜けること。「後輪がパンクする」
膨らみすぎてはちきれること。「腹がパンクしそうなほど食う」
度が過ぎて、正常に機能しなくなること。「教育費がかさんで家計がパンクする」

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百科事典マイペディアの解説

1970年代中頃に生まれた若者の風俗現像。発祥は英国で,髪を染める,逆立てる,一部分あるいは全体を剃る,ぼろぼろの服を着る,耳や鼻孔,口などに穴をあけ安全ピンを刺す,露骨で卑猥な言葉を吐くなどが特徴。不況による失業と階級意識の強い社会に閉塞感を抱く英国の若者の間で広まった。元来パンクとは与太者,不良などの意味だが,ロック・グループの〈セックス・ピストルズ〉が上述のようなスタイルで,反社会性を歌ってデビューしたときから,反社会・反通念がパンクの共有概念となった。彼らの音楽はパンク・ロックあるいは単にパンクと呼ばれた。金がないゆえのパンクのスタイルだったが,その後ファッションとしても流行した。→スキンヘッズ
→関連項目ニュー・ウェーブブロディヘビーメタルロック

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

1970年代中期から後期にかけてアメリカで発生、後にイギリスを経て世界中へと波及した、ロック・ミュージックの脱構築運動。

 70年代初期のニューヨークでは、CBGBやマクシズ・カンザス・シティといったアンダーグラウンドなライブハウスに若いロック・ミュージシャンが集まり、そのなかからパティ・スミス、テレビジョン、リチャード・ヘル&ボイドイズ、ラモーンズなどのグループが出現する。彼らの採用した音楽スタイルはさまざまであったが、いずれも形骸化した主流のロック・ミュージックと一線を画し、簡素ながらも荒々しいエネルギーをぶつけるものであった。これらのグループとその活動を指してニューヨーク・パンクと呼ぶ。

 当時ニューヨークに滞在しニューヨーク・パンクを目撃したイギリス人、マルコム・マクラーレンは、自身のもくろむネオ・ダダ的な文化活動をこのムーブメントによって実現することを狙って、ロンドンにあった自身のブティック「セックス」にたむろしていた若者4人を集め、セックス・ピストルズをデビューさせる。セックス・ピストルズはボーカルのジョニー・ロットンJohnny Rotten(1956― 、本名ジョン・ライドン John Lydon)の扇情的な歌唱と、ベースのシド・ビシャスSid Vicious(1957―79)の破壊的な言動で一躍注目され、パンク・ロックはイギリスのロックの新たな波となった。

 同時期にデビューしたクラッシュ、ダムドとセックス・ピストルズを称して三大パンク・バンドと呼ぶが、他にも60年代ロックの伝統に依拠したジャム、オイ(右翼的なイデオロギーを持つパンク・ロック)の代表的バンド、シャム69など、この時期多くのパンク・グループがイギリスのロック・シーンをにぎわした。これらイギリスのパンク・グループの多くはロンドンを中心に活動しており、これをニューヨーク・パンクに対してロンドン・パンクと呼ぶ。

 ロンドン・パンクの象徴的グループであったセックス・ピストルズは78年のアメリカ・ツアー中に解散し、その直後ビシャスはガールフレンドを殺害した後ドラッグの過剰摂取により破滅的な死を遂げた。このころからパンク・ロックは下火になり、パンクの影響はその後二つの流れに分岐することになる。パンクの宣言したロックの脱構築運動をより主流のポップ・ミュージックの領域で押し広げるニュー・ウェーブと、パンク・ロックの破壊的なサウンドをより徹底させるハードコア・パンクの二つである。

 ハードコア・パンクは80年代初頭、ディスチャージやG.B.H.、エクスプロイテッドといったイギリスのグループによって開始されたが、後にその中心はアメリカのアンダーグラウンド・ロック・シーンに移り、ロサンゼルスのブラック・フラッグやミネアポリスのハスカー・ドゥ、ワシントンDCのマイナー・スレットなどのグループの活動を経て、90年代に浮上するグランジやメロ・コア(メロディック・ハードコアの略称。メロディックなボーカルがのるパンク・ロックの一つ)などの新たな派生的ジャンルを準備することとなった。

[増田 聡]

『ディック・ヘブディジ著、山口淑子訳『サブカルチャー――スタイルの意味するもの』(1986・未来社)』『水上はるこ著『さよなら ホテル・カリフォルニア』(1987・シンコー・ミュージック)』『ジョン・サベージ著、水上はるこ訳『イングランズ・ドリーミング――セックス・ピストルズとパンク・ロック』(1995・シンコー・ミュージック)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (puncture から)
① 自動車、自転車、航空機などのタイヤが損傷して中に入れた空気が抜けること。
※大英游記(1908)〈杉村楚人冠〉本記「護謨輪(タイヤ)が二度迄もパンクをやったが」
② 物がふくらみすぎて破裂すること。また、比喩的に、物事の度が過ぎて失敗すること。
※蛙のこえ(1952)〈大宅壮一〉チン・アップ「とてつもない大きな夢を抱き、ついにパンクしてしまったのである」
③ (ややふざけて)出産すること。
④ 処理能力以上に利用が集中したために機能がまひすること。
⑤ 負債がかさんで破産すること。
〘名〙 (punk 不良、ちんぴらの意) 一九七〇年代のイギリスの若者を中心にして広まった、反体制の音楽やファッション。また、その若者たちをもいう。奇抜な服装や過激な行動で、従来の社会への反抗を表わした。〔ファッション裏論(1980)〕

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