綻びる(読み)ホコロビル

デジタル大辞泉 「綻びる」の意味・読み・例文・類語

ほころ・びる【綻びる】

[動バ上一][文]ほころ・ぶ[バ上二]
縫い目などがほどける。「袖口が―・びる」
花のつぼみ少し開く。咲きかける。「梅が―・びる」
表情がやわらぐ。笑顔になる。「思わず顔が―・びる」
隠していた事柄気持ちが隠しきれずに外へ現れる。
「いかならむをりにか、その御心ばへ―・ぶべからむと」〈・若菜上〉
鳥が鳴く。さえずる。
「かすみだに月と光とをへだてずはねぐらの鳥も―・びなまし」〈梅枝
[類語](1ほつれるほどける破れるやぶける裂ける切れる擦り切れる千切ちぎれる張り裂ける破裂するパンクする/(2咲く開花満開爛漫花期花時早咲き遅咲き狂い咲き返り咲き二度咲き四季咲き室咲き開く花開く膨らむ咲き初める咲き乱れる咲きこぼれる・咲き競う・咲き揃う咲き匂う咲き誇る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「綻びる」の意味・読み・例文・類語

ほころ・びる【綻】

  1. 〘 自動詞 バ上一 〙
    [ 文語形 ]ほころ・ぶ 〘 自動詞 バ上二段活用 〙
  2. 縫いめがとける。衣服などの縫いめの糸がはち切れる。ほどける。
    1. [初出の実例]「唐衣きて見る事の嬉しさをつつめば袖ぞほころびぬべき」(出典:落窪物語(10C後)二)
  3. 衣服などの布の合わせめの一部を縫い残して仕立てる。
    1. [初出の実例]「一重の御衣(ぞ)もいたくほころびてあらはに」(出典狭衣物語(1069‐77頃か)二)
  4. (つぼみ)がひらき始める。花が咲きかける。
    1. [初出の実例]「あをやぎの糸よりかくる春しもぞみだれて花のほころびにける〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・二六)
  5. 隠していた気持や事柄が隠しきれずに外に出る。
    1. [初出の実例]「いかならむ折にか、その御心ばへほころぶべからむと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  6. おかしさや、楽しさをこらえきれずに外に出す。にこにこと笑いだす。また、かたい表情をくずす。
    1. [初出の実例]「人々みなほころびて笑ひぬれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  7. うきうきした気持を抑えきれずに鳥などが鳴く。楽しげにさえずる。
    1. [初出の実例]「かすみだに月と花とをへだてずはねぐらの鳥もほころびなまし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
  8. かたくなっていた気持がほぐれる。うちとける。
    1. [初出の実例]「是より少しほころびて、彼男舟さし寄」(出典:談義本・根無草(1763‐69)前)

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