ヒドロ虫類(読み)ひどろちゅうるい

日本大百科全書(ニッポニカ)「ヒドロ虫類」の解説

ヒドロ虫類
ひどろちゅうるい

腔腸(こうちょう)動物門の1綱Hydrozoaを構成する動物群。原則として付着性のポリプ型と自由遊泳をするクラゲ型の両方の世代をもち世代交代を行うが、種類によってはそのうちの一方を欠いていることがある。一般にポリプ型は小形であるが、それらは群体を形成していることが多く、その群体は高さ数十センチメートルの大きさになることがある。また、まれには1個の単生のポリプがやはり高さ数十センチメートルあるいはそれ以上の大形になることもある。個々のポリプは一般に円筒形で、先端の口を取り巻いて数本の触手をもつ。体は外皮から分泌された包皮とよばれる堅い膜で包まれていることが多い。クラゲは皿状あるいは鐘状で、口柄・放射管が発達し、傘縁から内側へ向けて縁膜があるのが特徴。ほかの腔腸動物であるハチクラゲ綱や花虫綱と比べて体の構造は簡単で、胃腔内に隔膜などはまったくみられない。一般に雌雄異体であり、生殖腺(せん)はほかの腔腸動物と異なって外胚葉(がいはいよう)性で、クラゲの体の口柄上あるいは放射管上に発達するが、クラゲ型をもたない種類ではポリプの体上に直接つくられる。受精した卵はプラヌラを経て小ポリプになる(ポリプをもたない種類ではクラゲになる)。また出芽・縦分裂など無性生殖もしばしば行われる。

 ヒドロ虫類は世界に約3000種ほど知られ、ほとんど大部分が海産であるが、ヒドラやマミズクラゲなど例外的に淡水にすむものもある。ヒドロ虫綱は、次の4目に分けられる。

 ヒドロイド目(ヒドラ、オベリア、マミズクラゲ)、ヒドロサンゴ目(サンゴモドキ)、硬(かた)クラゲ目(カラカサクラゲ、ツリガネクラゲ)、管(くだ)クラゲ目(ヨウラククラゲ、カツオノエボシ)。

[山田真弓]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉「ヒドロ虫類」の解説

ヒドロちゅう‐るい【ヒドロ虫類】

《〈ラテンHydrozoa》ヒドロ虫綱の腔腸(こうちょう)動物総称。多くは、無性生殖をするポリプ型と有性生殖をするクラゲ型との世代交代を行うが、どちらか一方しかないものもある。ポリプは円筒形で、先端の口の周りに触手が並び、群体を形成することが多い。クラゲは皿状や鐘状。ヒドラマミズクラゲカツオノエボシなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ヒドロ虫類」の解説

ヒドロ虫類
ヒドロちゅうるい
Hydrozoa

刺胞動物門ヒドロ虫綱に属する種類の総称。約 3200種が知られており,硬クラゲ目や管クラゲ目など 8目に分けられる。定着性のポリプ型(→ポリプ)と自由生活性のクラゲ型(→クラゲ)の 2型をもち,ポリプ型は無性的,水母型は有性的に生殖をするいわゆる世代交代を行なうが,なかにはどちらかの型を欠くものもある。ポリプの体制は比較的簡単で,胃腔隔壁がなく,口盤の周辺部に触手をもつ。おもに出芽により増殖し,群体をつくるものが多い。水母は比較的小さく,傘は皿形または深い釣鐘形で,傘の周縁内側にある縁膜を収縮させて傘を開閉し,運動する。また傘縁に触手があり,眼点あるいは平衡器をもつ。一般に雌雄異体。ほとんどが海産であるが,ヒドラ淡水クラゲなど少数の淡水産,汽水産のものもある。(→刺胞動物無脊椎動物

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

精選版 日本国語大辞典「ヒドロ虫類」の解説

ヒドロ‐ちゅうるい【ヒドロ虫類】

〘名〙 (Hydrozoa から) 刺胞動物門の一綱。刺胞類中最も簡単な構造をしている。ポリプ形とクラゲ形がある。ポリプ形のヒドロポリプは単独性のものもあるが、多くは出芽によって群体を形成。胃腔には隔壁がなく、構造は多放射性・四放射性。体表には包皮または石灰質の骨格をもつ。クラゲはヒドロクラゲで、外胚葉起原の生殖細胞をもつ。クラゲとポリプの両形をもつものは、世代交番がみられる。多くが海産だが、ヒドラやマミズクラゲなど淡水産もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

緑酒

〘名〙 緑色の酒。よい酒。うまい酒の色としていう。※菅家文草(900頃)五・雨晴対月「緑酒猶催醒後盞、珠簾未レ下暁来鈎」※一高寮歌・嗚呼玉杯に花うけて(1902)〈矢野勘治〉「嗚呼玉杯に花うけて 緑酒...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android