ビリニュス(読み)びりにゅす(その他表記)Vilnius

デジタル大辞泉 「ビリニュス」の意味・読み・例文・類語

ビリニュス(Vilnius)

リトアニア共和国首都。同国南東部にある商工業都市。ネリス川沿いに位置する。14世紀に建設された。古いカトリック教会や1579年創立の大学がある。1923年から第二次大戦までポーランド領。ポーランド語名ビルノ。ヨーロッパ最大規模の旧市街ドイツ騎士団ハンザ同盟の影響を受けず、ビリニュス大聖堂ゲディミナス城夜明けの門などの歴史的建造物が残る。1994年、「ビリニュス歴史地区」の名称世界遺産文化遺産)に登録された。人口、行政区55万(2008)。

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精選版 日本国語大辞典 「ビリニュス」の意味・読み・例文・類語

ビリニュス

  1. ( Vilnius ) リトアニア共和国の首都。同国南東部にあり、ネリス川に沿う商工業都市。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビリニュス」の意味・わかりやすい解説

ビリニュス
びりにゅす
Vilnius

リトアニア共和国の首都。人口54万2287(2001)。ネリス川の深い河谷の段丘上に発達している。古くからの商業都市で、鉄道、道路、空路の交通上の要地。ポーランド語名ビルノWilno。バルト三国最大の工業都市の一つで、機械金属加工、化学、精密機械、繊維、食品、木材加工などの工業が盛ん。工業生産高はリトアニアの4分の1を占め、なかでも機械金属関係は同市工業の50%以上に達する。科学、文化の中心地で、科学アカデミーやビリニュス大学のほか、40の科学研究機関をもち、学生数2万6000に達する。カトリックと東方正教会(ギリシア正教)の大司教座の所在地で、16世紀ゴシック様式の聖アンナ教会、17世紀バロック様式の聖ペテロ・パウロ教会ほか、多数の教会がある。

 市街はネリス川の谷に発達し、13~16世紀に扇形に形成された旧市街は不規則な道路網をもつ。16世紀初頭に石の城壁が築かれたが、19世紀に新市街がその外側に拡張された。第二次世界大戦後、住宅地区と工業地区が北側につくられた。

[山本 茂]

歴史

5世紀ごろに集落ができ、のち城塞(じょうさい)が築かれた。1323年リトアニア大公ゲディミナスが居城を移してから、リトアニアの首都となった。リトアニアとポーランドの王朝連合後、1387年に司教座が置かれ、都市法が制定された。16世紀には商業、手工業、文化が著しく発展し、1579年にアカデミーが設立された(1803年に大学に改組)。ポーランド分割後はロシア領となったが、チャルトルイスキ公の努力によって、ビリニュス大学は1803~32年ポーランドの学術、文化の中心となった。1831年と63年には、ポーランドの独立蜂起(ほうき)と連動して反ロシア蜂起が起こった。第一次世界大戦後、ポーランドとリトアニアが独立すると、市は両国の係争地となり、1920年ポーランド軍が占領、22年正式にポーランド領となったが、第二次世界大戦勃発(ぼっぱつ)と同時にソ連軍によって占領された。40年7月からリトアニア共和国の発足に伴いその首都となった(同年8月、リトアニアはソ連邦の構成共和国となる)。1941~44年にはドイツ軍の占領下にあり、戦争によって大部分が破壊された。91年、ソ連の体制が揺らぐなか、リトアニアは独立を達成した。

[安部一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビリニュス」の意味・わかりやすい解説

ビリニュス
Vilnius

リトアニアの首都。ポーランド語でウィルノ Wilno。同国南東部,ネマン川支流のビリヤ (ネリス) 川とビリニャ川の合流点に位置する。 1128年記録に現れ,1323年リトアニア大公国の首都となった。 1377年ドイツ騎士団に破壊されたが,再建され,1387年自治都市となった。 1795年第3次ポーランド分割によりロシア領となったが,1920~39年ポーランドの支配下に置かれ,1940~91年ソビエト連邦領。リトアニアの行政,経済,文化の中心で,機械 (農業,電子,工作) ,繊維 (メリヤス,縫製) ,皮革,製靴,食品 (食肉,乳製品,菓子) ,たばこ,家具などの工業が発達している。またビリニュス大学 (1579) をはじめ教育,芸術などの大学,高等音楽院,科学アカデミー,歴史・民族博物館,各種劇場,美術館などの文化施設がある。第1次世界大戦,第2次世界大戦で大損害を受けたが,16世紀の城壁,14~17世紀の各種様式の聖堂など古い建築物が残る旧市街は,1994年世界遺産の文化遺産に登録。鉄道,ハイウェーの分岐点で,空港もある。人口 54万2932(2011)。

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百科事典マイペディア 「ビリニュス」の意味・わかりやすい解説

ビリニュス

リトアニア共和国の首都。ビルニュスとも。ネマン川の支流ネリス川に面し,工作機械,電気機器,計算機などの工業が行われる。12世紀から知られ,リトアニア大公国の首都として繁栄,東方でのカトリックの大中心となるとともに,ポーランド人とユダヤ人が多数来住し,ポーランド文化,ユダヤ教の一中心ともなった。そのため,宗教関係はじめ14―18世紀の古い建築物が残っている。旧ソ連邦内でもっとも古いビリニュス大学(1579年創立)がある。1941年―1944年のドイツ軍占領下でユダヤ系市民ら多数が虐殺された。1944年の解放後,ソ連邦リトアニア共和国の首都。1991年以後,独立したリトアニア共和国の首都。歴史地区は1994年世界文化遺産に登録。53万5631人(2011)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ビリニュス」の意味・わかりやすい解説

ビリニュス
Vil'nyus

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世界大百科事典(旧版)内のビリニュスの言及

【ビルニュス】より

…バルト海沿岸,リトアニア共和国の首都。ロシア語ではビリニュスVil’nyus。旧名ビルノWilno,ビルニャVilnia。…

※「ビリニュス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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