アメリカの遺伝生化学者。ネブラスカ大学卒業。コーネル大学で学位を得る。T・H・モーガン門下。1935年よりパリでエフルシBoris Ephrussi(1901―1979)とともに研究し、ショウジョウバエの突然変異体である朱眼と辰砂(しんしゃ)眼では、トリプトファンから色素形成に至る反応がそれぞれ異なる段階で止まっていることを示し、遺伝子と酵素の関係を示唆した。1940年ころより、生化学的解析に不便なショウジョウバエを捨て、テータムとともに、アカパンカビに各種栄養要求突然変異を人為的におこさせて、生化学的基礎のうえに交雑、遺伝子解析を行った。その結果、一つの遺伝子が一つの酵素を支配しているという結論を得た。この方法はその後、細菌遺伝学に広く適用された。1958年、テータムとともに、「遺伝子が特定の化学反応の調節によって作用することの発見」によりノーベル医学生理学賞を受賞した。なお、遺伝子組換えと細菌の遺伝物質の構成を研究したレーダーバーグとの同時受賞であった。
[石館三枝子]
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