円形断面を有するピストンがシリンダー内を往復する構造のエンジン。蒸気機関や一般のガソリンエンジン,ディーゼルエンジンなどがこの形式で,回転部のみから構成されているガスタービンや蒸気タービンなどの回転型機関に対して,往復機関reciprocating engine,レシプロエンジンとも総称される。ピストンエンジンはピストンの往復運動を回転運動に変換するためのピストン-クランク機構を必要とし,回転型機関に比べて重量や振動の面では性能的に劣るが,小出力のものから大出力のものまで,高効率のものを比較的容易にかつ安価に製造でき,また取扱いも容易なため,原動機の中ではもっとも広く用いられている形式である。
かつて航空機用に使われた星型機関のうち,機関本体が回転する構造のものを回転ピストンエンジンと呼ぶこともあるが,これもピストンはシリンダー内を往復運動しており,往復ピストンエンジンであることに変わりはない。一方,三角おむすび型の回転子をもつワンケルエンジンなどを,回転ピストンを有する機関の意味でやはり回転ピストンエンジンと呼ぶことがある。上記の2種の機関は,ロータリーピストンエンジン,さらにはロータリーエンジンとも呼ばれるが,まぎらわしい表現である。
執筆者:酒井 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
断面が円形で一端の閉じた円筒形のピストンがシリンダー内を往復し、それにシリンダー内の高圧ガスの圧力が作用して出力を得る構造のエンジン。蒸気機関やガソリンエンジン、ディーゼルエンジンなどがこの形式で、ガスタービンや蒸気タービン、ジェットエンジンなどの回転部分のみからなる回転型機関に対して、往復動機関(レシプロエンジン)と総称される。ピストンエンジンは、一般にはピストンの往復運動を回転運動に変換するクランク機構、カム機構などが必要で、回転型機関に比べて重量や振動の面で不利ではあるが、〔1〕高圧ガスの気密をピストン周囲の円形のピストンリングで保つために気密がよく、回転型機関より高圧のガスを用いることができる、〔2〕比較的容易にかつ安価に製造でき、取扱いも容易である、〔3〕小出力のものから大出力のものまで製造できる、などの利点があり、広く用いられている。
一般にはシリンダー部分が固定してクランク軸が回転するが、かつて航空機用としてクランク軸が固定し、シリンダー部分が回転する型式のものもあった。また、土木工事などで用いられる杭(くい)打ち機もクランク機構をもたないピストンエンジンである。円筒形のピストンのかわりに三角形の回転子と、偏心軸といわれるクランク機構をもつバンケルエンジンも一種のピストンエンジンである。
[吉田正武]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ピストンエンジンの圧縮行程において,シリンダー内のガスが何分の1に圧縮されるかを容積比で表した値。(行程容積+すきま容積)/(すきま容積)によって求められる。…
…なお,ロケットエンジンもその推進の原理は狭義のジェットエンジンと同じであるが,燃料の燃焼に必要な酸素を大気から取り入れる必要がない点で異なる。ロケット
[歴史]
航空エンジンは第2次世界大戦末期にターボジェットエンジンが一部で実用され始めるまでは,すべて今日の自動車用エンジンと同様のピストンエンジンであった。ピストンエンジンはその作動原理から,重量や大きさ当りの発生動力,1基当りの最大発生動力に限度があり,馬力当り重量0.5kgf/ps,1基最大出力4000ps程度である。…
※「ピストンエンジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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