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ピネン pinene

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ピネン
pinene

化学式 C10H16 。モノテルペンの一種。3種の異性体が存在する。 (1) α-ピネン テレビン油の主成分で特異な臭いをもつ液体。光学異性体がある。D体は沸点 155~156℃,[α]D20=+51.13° 。L体は沸点 155~156℃,[α]D20=-51.28° 。どれもショウノウの合成原料や塗料溶剤として利用される。 DL体は沸点 155~156℃。 (2) β-ピネン α-ピネンと共存し,その性質がよく似ているために両者の分離は困難である。D体はセリ科植物の果実から分離抽出された。沸点 162~163℃。L体はテレビン油中に少量存在する。沸点 164℃,[α]D20=-22.1° 。 (3) δ-ピネン 天然には存在せず合成されたもので,d -シス体は沸点 159~161℃,l -トランス体は沸点 157~158℃である。

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百科事典マイペディアの解説

ピネン

モノテルペン炭化水素の一つC1(/0)H16。α‐,β‐の2異性体があり,またそれぞれにd‐,l‐の光学異性体がある。α‐ピネン(沸点156℃)はテレビン油の主成分。
→関連項目テルペン

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栄養・生化学辞典の解説

ピネン

 C10H16(mw136.24).

 d-α-ピネンとd-β-ピネンがある.テレピン油の成分.野菜,山菜など食用植物には香気成分としてピネンを含むものがある.

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世界大百科事典 第2版の解説

ピネン【pinene】

植物の精油中に広く存在し,とくにテレビン油の主成分をなす,パイン様の特有の香気をもつ無色の流動性のある液体。α‐ピネンとβ‐ピネンの異性体があり,天然には混合物として存在するが,一般にα‐ピネンの含有量が多い(約60%)。またα‐ピネンには右旋性(=+52゜)と左旋性(=-51゜)の光学異性体があり,アメリカ産ピネンは右旋性,ヨーロッパ産は左旋性である。比重0.86,沸点155~156℃。水に不溶,アルコール,油に可溶であり,ほとんどの香料と混和する。

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大辞林 第三版の解説

ピネン【pinene】

テルペンの一。テレビン油の主成分で、植物の精油として広く存在する。合成樟脳・合成香料の原料、また溶剤に用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ピネン
ぴねん
pinene

環状テルペン系炭化水素の代表的なもので、α(アルファ)-ピネンとβ(ベータ)-ピネンとがある。ピネンのα-体とβ-体の違いは二重結合の位置であって、α-体は1、6位、β-体は1、7位に二重結合がある。ピネンは多くの精油に含有されており、とくに松柏(しょうはく)科の精油であるテレビン油の主成分である。これを分留するとα-ピネンおよびβ-ピネンがともに得られるが、α-ピネンはβ-ピネンより圧倒的に多く得られる。しかし、テルペン系香料の合成原料としての価値は低かったので、多年にわたりα-ピネンをβ-ピネンに異性化させる努力がなされ、Glidden社(1965。現Glidco社)、Farbwerke Hoechst社(1966)、L. Givaudane社(1967)によって異性化の技術が確立した。
 α-ピネンおよびβ-ピネンにはそれぞれ光学異性体であるd-体とl-体が存在する。α-ピネンは塗料および樹脂に多量に使用され、合成樟脳(しょうのう)、テルピネオール、ペリラルデヒドの合成原料として用いられる。また、α-ピネンをβ-ピネンに異性化する技術が確立されたので、β-ピネンを経てゲラニオール、ネロール、リナロール、シトロネロール、シトラール、シトロネラールが生産されるようになった。β-ピネンは各種テルペン系合成香料の出発原料として重要である。[佐藤菊正]

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