ピロン(複素環式化合物)(読み)ぴろん(英語表記)pyrone

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ピロン(複素環式化合物)
ぴろん
pyrone

6員環内に酸素原子1個をもつ複素環式化合物で、α(アルファ)-ピロンとγ(ガンマ)-ピロンの2種類が知られている。

 α-ピロンは、2-ピロンともよばれ、無色の液体で水に溶ける。γ-ピロンは、4-ピロンともよばれ、吸湿性をもつ無色の結晶で、水、エタノールエチルアルコール)、エーテルなどの溶媒によく溶ける。ピロンをアンモニアと反応させると、酸素が窒素(NH基)により置換されてピリドンになる。この反応で2-ピロンからは2-ピリドン、4-ピロンからは4-ピリドンができる。2-ピロンおよび4-ピロンにベンゼン環が縮合した誘導体であるクマリン、クロモンキサントンなどは天然に存在し、香料や色素として知られている。

[廣田 穰 2015年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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