コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ファブリオー fabliau

翻訳|fabliau

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ファブリオー
fabliau

フランス中世文学における韻文による笑話,小ばなしの総称。 12世紀後半から 13世紀にかけて盛んに行われ,147編が現存。8音綴で平均して 300~400行の長さで,卑俗な題材を赤裸々に語る。人間の悪知恵と欲望を指摘し,罪のないいたずら,軽い風刺,陽気でしばしば猥雑なユーモアを交えたものが多い。成立過程,正確な創作時期はほとんど不明であり,1170年頃の『リシュー』 Richeutが最古のものとみなされる。作者も無名な者が多いが,リュトブフボデルが有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

ファブリオー

13世紀に北フランスで流行した韻文の短編説話の総称。ジョングルールが吟遊して歩いた。内容は笑話が多く,教訓話,恋愛話等もある。コント前身

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ファブリオー【fabliaux】

中世北フランスの韻文で書かれた笑話。一編数十行のものから1000行を超えるものまであり,150編ほどが残されている。そのうち作中でファブリオーといっている作品は60編ほどである。中世の作品の中には作中でファブリオーといいながら内容がこっけい譚でないため,いまはファブリオーとされない作品もある。大部分は平韻8音節で書かれている。会話が多く用いられていて口演者が声色を使い身ぶりを交えて語ったことを推測させる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ファブリオー
ふぁぶりおー
fabliaux

フランス中世の主として13世紀に、北フランス(ことにピカルディ、アルトア地方)で流行した韻文小話(こばなし)約150編の総称。『狐(きつね)物語』と並んで、新興市民階級の嘲笑(ちょうしょう)的、風刺的な精神を代表し、近代短編小説の祖先とみなされる。
 作中人物は町民、騎士、司祭、修道僧、百姓などで、彼らの生活風俗や気質が会話を中心にした簡潔な叙述のうちに活写されているため、中世社会の実態をうかがううえでの貴重な資料ともなりうる。まぬけな亭主や偽善的な僧侶(そうりょ)が悪ふざけの犠牲者となるような筋の単なる笑い話が多いが、なかには教訓的な意図をもつものもある。名の伝わらぬ吟遊詩人・学僧の作『コンピエーニュの三人盲』『百姓医者』『毛布分け』などのほか、著名な詩人リュトブーフの作『ロバの遺言』などもある。民間伝承としての起源は太古の闇(やみ)に隠れているが、文学形態としてはラテン喜劇の影響が認められる。一方、12~13世紀の新興市民社会の成立という背景とも関連づけられる。[山田 

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のファブリオーの言及

【小説】より

…ローマ時代にはペトロニウスの《サテュリコン》に写実的な社会風刺が含まれ,アプレイウスの《黄金のろば》,ルキアノスの《真実の話》など,変身譚や空想旅行を利用した知的風刺文学は,ラブレーやスウィフトなどに影響を与えている。中世の宮廷ではアーサー王伝説にもとづく韻文ロマンスが栄えたが,一方では民衆的な滑稽・艶笑譚であるファブリオーやちまたの話題や事件を物語化したノベラも発達した。ボッカッチョの《デカメロン》は代表的な物語集で,別荘に集まった男女がそれぞれ物語をするという枠物語の形式により,多くのファブリオーやノベラ,さらに宗教的教訓談やロマンス的恋愛物語を集めている。…

※「ファブリオー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

ファブリオーの関連キーワードチャールズ・マリー・ジョセフ ベディエサン・ヌーベル・ヌーベルカンタベリー物語結婚十五の楽しみコンピエーニュフランス文学モリエール説話文学宮廷文学好色文学ベディエファルス

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android