ふら(読み)フラ(その他表記)hula

翻訳|hula

デジタル大辞泉 「ふら」の意味・読み・例文・類語

ふら

多く「フラ」と書く》その芸人が生まれつきもっている、言葉では説明しようのない笑いの雰囲気。落語界でいう。「ふらがある」

フラ(hula)

フラダンス

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ふら」の意味・わかりやすい解説

フラ
hula

ハワイ諸島の伝統的な踊りとその音楽。起源は非常に古く,初めは宗教儀式として,神殿で男性だけが踊っていたが,やがて女性にも許され,1778年にJ.クックがハワイに来たころには,女性による優雅なフラの踊りの型が完成していた。古典フラは大きく分けて2種あり,太鼓伴奏で踊る宗教的なフラ・パフhula pahuと,イプ(ひょうたん)の伴奏で踊る語り物的なフラ・アーラアパパhula `āla`apapaであった。踊りは胸部を固定し,手,腰,足,そして表情ことに目を優雅に動かして,太陽,鳥,海などの自然を描写的に表現するパントマイムの要素をもつ。音楽はゆったりバウンスするリズムにのった詠唱的な歌に打楽器(太鼓もしくはイプ)がつくのが古典的な形で,この歌をメレ・フラmele hulaという。

 1820年以降アメリカからキリスト教宣教師が来島し,フラを不道徳的なものと曲解して禁止,その後19世紀末期に再興されてモダン・フラの時代を迎えるが,商業主義に毒された俗悪な腰振り踊りがフラあるいはフラ・ダンスと呼ばれた例が多く,フラに対する誤解は今なお払拭されていない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ふら」の意味・わかりやすい解説

フラ
hula

ハワイ諸島民族舞踊。本来はハワイの先住民ポリネシア系カナカ族が宗教的な儀式の際に演じたもので,レイ(花輪)やクジラの骨や歯でつくられたブレスレットやアンクレットをつけ,女性はパウと呼ばれる短いスカートを,男性はマロと呼ばれるタパの下帯を着けて,手と腰をくねらせながら踊っていた。1820年にハワイに入ったアメリカ合衆国ニューイングランド宣教師が,不道徳だとしてパウを丈の長いホロクに変更させた。同時に,西洋から持ち込まれた音楽の影響も受け,変化していった。今日のフラには現代的なフラ・アウアナと古典形式のフラ・カヒコがあり,前者は音楽にウクレレハワイアン・ギターを使うが,後者はイプ(ひょうたん)やイリイリ(石製カスタネット),パフ(ヤシの木の幹とサメの皮でつくられた太鼓)を用いる。かつてハワイでは,詠唱であるメレと舞踊のフラが教養の一つになっていた。近年はハワイアン音楽の流行や観光資源としての発展を経て,フラダンスと呼ばれることも多くなり,元来の性格を失い,通俗化している。

フラ
Fulla

北欧神話の豊穣の女神。オーディンの妃フリッグの妹とも,最も信頼の厚い侍女ともいわれ,その宝石箱や履物の保管を託されていたという。黄金の実りを象徴すると思われる豊かに波打つ金髪の持主とされ,別名をボラとも呼ばれた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ふら」の意味・わかりやすい解説

フラ

ハワイ諸島の舞踊とその音楽。胸部を固定し,優雅で曲線的な動きで歌詞の内容を表現して踊る。音楽は宗教的な詠唱(チャント)からポピュラーなハワイアン・ミュージックまで幅広い。伝統的フラは,伴奏に太鼓あるいはひょうたんの打楽器を用いる詠唱に合わせて踊るものである。19世紀初頭に来島したヨーロッパ人宣教師が禁止したが,19世紀末に西洋文化の影響を取り入れて再興された。その後観光開発の中で商品化され,大きく変化した。1940年代に創られた〈ポリネシアン・ダンス・ショー〉はその典型。世界中に愛好者がおり国際大会も開かれている。1970年代以降,ハワイ先住民運動の高まりとともに,伝統としての古典フラの復興が盛んになり,その中心イベントは先住民が運営,審査するフラ競技会となっている。
→関連項目ハワイ王国

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のふらの言及

【ハワイ[州]】より

…【正井 泰夫】
[伝統音楽]
 ハワイ伝統文化において音楽が文芸,舞踊と結合した形で行われてきた点では他のポリネシア諸島と共通しているが,ポリネシアの中では例外的に楽器の種類が多い。ヤシの丸太をくりぬきサメ皮を張った片面太鼓パフpahu,ヤシ殻に魚皮を張り膝に結びつける片面太鼓プーニウpūniu,巨大なひょうたんをマットの上で搗奏したり,指や手のひらで打奏するイプipuなどは舞踊フラhulaの伴奏楽器として基本的である。おもに踊手自身が採物として手に持つ音具としては,2本の硬い木片を打ち合わせるカラアウkala’au,小さなひょうたんやヤシ殻の中に小石,種子を入れた羽毛飾つきがらがらとしてのウリーウリーulī’ulī,竹筒を櫛のように細く裂いたささら竹を身体に打ちつけるプーイリpū’ili,2対の平らな石を両手に持ってカスタネットのように打ち合わせるイリイリ’ili’iliがそれぞれ特有の音色により変化に富んだ音響世界をつくり出す。…

【オセアニア】より

…この3区分はそれぞれ地史的な背景をもつ。(1)オーストラリアとその東岸の大堡礁(グレート・バリア・リーフ)や北側のアラフラ海域を含めた広いサフール陸棚地域などは,古い先カンブリア時代の楯状地を境にし,主として先カンブリア時代~古生代の地殻変動を通じて成長してきた地域である。中生代終りごろにこの陸塊はゴンドワナ大陸から分離したあと,海洋底の拡大等の運動に伴って現在のような形や構造をとることになった。…

【ハワイ[州]】より

…【正井 泰夫】
[伝統音楽]
 ハワイ伝統文化において音楽が文芸,舞踊と結合した形で行われてきた点では他のポリネシア諸島と共通しているが,ポリネシアの中では例外的に楽器の種類が多い。ヤシの丸太をくりぬきサメ皮を張った片面太鼓パフpahu,ヤシ殻に魚皮を張り膝に結びつける片面太鼓プーニウpūniu,巨大なひょうたんをマットの上で搗奏したり,指や手のひらで打奏するイプipuなどは舞踊フラhulaの伴奏楽器として基本的である。おもに踊手自身が採物として手に持つ音具としては,2本の硬い木片を打ち合わせるカラアウkala’au,小さなひょうたんやヤシ殻の中に小石,種子を入れた羽毛飾つきがらがらとしてのウリーウリーulī’ulī,竹筒を櫛のように細く裂いたささら竹を身体に打ちつけるプーイリpū’ili,2対の平らな石を両手に持ってカスタネットのように打ち合わせるイリイリ’ili’iliがそれぞれ特有の音色により変化に富んだ音響世界をつくり出す。…

※「ふら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android