ブラウントラウト(その他表記)brown trout
Salmo trutta

デジタル大辞泉 「ブラウントラウト」の意味・読み・例文・類語

ブラウン‐トラウト(brown trout)

サケ科淡水魚ヨーロッパ原産。日本にはおもに北アメリカを経て移入日光中禅寺湖に多く生息する。シューベルト作曲「ます」は本種をさすとされる。平成27年(2015)、産業管理外来種指定

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ブラウントラウト」の意味・わかりやすい解説

ブラウントラウト
brown trout
Salmo trutta

サケ目サケ科の淡水魚。原産地はヨーロッパで,ヨーロッパではきわめてふつうに見られ,シューベルトの《鱒(ます)》は本種を指す。日本へは昭和初めにアメリカからカワマス卵を移殖する際に混入して入ったとされる。1936年奥多摩に移殖の記録がある。現在,中禅寺湖ではかなり生息する。形態ニジマスに似ているが,体側に紅色縦帯がなく,カワマスのような背部の雲形斑紋がない。体側にカワマスよりも大きめの白点および赤点が,黒点に混じって存在するが,ときには赤点を消失したものもある。産卵期は10月下旬~12月で,1年だけでなく数年続けて産卵する。卵はニジマスに比べてやや白濁した黄みを帯びている。卵径は約6mm程度,孵化(ふか)にはニジマスより冷たい水温を必要とし,12.8℃以上では孵化しない。10℃前後で約40日で孵化する。ニジマス,カワマスなどよりも貪食(どんしよく)で,大型の魚をも捕食する。体長はふつうは40cmくらいであるが,最大80cmに達するものもある。釣りの好対象となり美味である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラウントラウト」の意味・わかりやすい解説

ブラウントラウト
ぶらうんとらうと
brown trout
[学] Salmo trutta

硬骨魚綱サケ目サケ科に属する魚。体色は黄褐色、体側に粗大な黒点と朱紅点が散在する。分布はヨーロッパの北部中部全域、黒海、カスピ海、アラル海周辺から北アフリカにも及ぶ。地域による亜種が多い。一般に淡水生活型であるが、一方、降海・遡河(そか)型のシートラウトがあり、両者の関係はヤマメとサクラマスの関係に似る。南アメリカやタスマニア島に移殖されたブラウン型のものからシートラウトが現れることから、両型に本質的な差のないことがわかる。日本にはおもに北アメリカを経て移入され、中禅寺湖、上高地梓(あずさ)川沿いの池や山岳地帯の冷水湖に放され、小魚、水生昆虫を貪食(どんしょく)して大きく成長する。池中養殖はかなりむずかしい。野生的で釣りの対象としておもしろく、肉味は佳良である。

[久保達郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ブラウントラウト」の意味・わかりやすい解説

ブラウントラウト

サケ科の魚。原産地はヨーロッパ。シューベルトの《鱒》も本種。日本では昭和の初めに,米国からカワマスと混入して移植された。現在,中禅寺湖にかなりの数が生息する。形態はニジマスに似るが,体側に紅色の縦帯がなく,またカワマスのように背部の雲形斑紋もない。この3種のうちでは最も貪食で,大型の魚にもくらいつく。全長はふつう40cm程度。80cmを超えるものもいる。釣りの対象魚で美味。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android