フランスの数学者集団の筆名。1934年ごろ、『数学原論』を共同著作するために、カルタンHenri Cartan(1904―2008)、シュバレーClaude Chevalley(1909―1984)、デルサルトJean Delsarte(1903―1968)、ディュドンネJean Dieudonné(1906―1992)、ベーユらが設立した。構成員は50歳を定年とするため、何度か変わり、フランス人以外も参加するようになった。A・グロタンディエク、L・シュワルツ、セールJean-Pierre Serre(1926― )らもかつて構成員であった。年3回、セミネール・ブルバキをパリで開催、専門家に依頼して数学各分野の成果を整理した形で報告してもらい、その報告要旨を出版している。
『数学原論』は、集合論、代数、位相、実一変数関数、位相線型空間、積分、スペクトル論、可換代数、リー群とリー環、多様体(要約のみ)の10部門40冊が出版されている。『数学原論』は、構造の概念を初めて数学的に定式化し、それを数学各部門の分類の基礎として、数学の基礎的諸部門を体系的に記述した画期的な著作で、よく整理された本文のほかに、多くの結果を含む演習問題と、その分野の歴史を概観した歴史覚書からなる。歴史覚書は『数学史』として別に出版されている。テンソル積、外積代数、位相線型空間など、それまで書籍にまとめられたことのなかった重要な概念を初めて体系的に記述し、普及させた功績も大きい。
[杉浦光夫]
『前原昭二他訳『数学原論』全4巻(1968、1969・東京図書)』▽『清水達雄・村田全訳『数学史』(1993・東京図書)』▽『ファング著、河村勝久訳『ブルバキの思想』(1975・東京図書)』
(桂利行 東京大学大学院教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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