ブロツキー(読み)ぶろつきー(その他表記)Иосиф Александрович Бродский/Iosif Aleksandrovich Brodskiy

デジタル大辞泉 「ブロツキー」の意味・読み・例文・類語

ブロツキー(Iosif Aleksandrovich Brodskiy)

[1940~1996]米国詩人ソ連の生まれ。作品地下出版されていたが、「社会的徒食者」として逮捕され、後に米国へ亡命した。優れた哲学的叙情詩を書いたほか評論随筆名手としても知られる。1987年ノーベル文学賞受賞。詩集長詩短詩」「ウラニア」、随筆集「一以下」など。ヨシフ=ブロツキー。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロツキー」の意味・わかりやすい解説

ブロツキー
ぶろつきー
Иосиф Александрович Бродский/Iosif Aleksandrovich Brodskiy
(1940―1996)

詩人。レニングラード(現サンクト・ペテルブルグ)生まれのユダヤ系ロシア人。15歳で学校を中退、以後独学でいくつかの外国語を学び、1958年から詩を書き始めた。作品のほとんどは地下出版の形で流布されていたが、64年「社会的寄食者」として逮捕され、一時アルハンゲリスク地方に追放された。72年出国を強制され、ウィーンロンドンに滞在後、アメリカに渡り、77年市民権を取得。ジョン・ダン、エリオットなどに傾倒し、野卑口語の要素を取り入れながらも、それが「形而上学(けいじじょうがく)的」なものにまで高められている。題材古典古代聖書などにとりながらも、つねにそれは現在と重ね合わされた。詩集に『長詩と短詩』(1965)、『美しい時期の終り』(1977)など。87年ノーベル文学賞受賞、91年アメリカの桂冠(けいかん)詩人に叙せられた。

[小平 武]

『ブロツキー著、沼野充義訳『大理石』(1991・白水社)』『ブロツキー著、金関寿夫訳『ヴェネツィア・水の迷宮の夢』(1996・集英社)』『ブロツキー著、沼野充義訳『私人――ノーベル賞受賞講演』(1996・群像社)』『ブロツキー著、たなかあきみつ訳『ローマ悲歌』(1999・群像社)』

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百科事典マイペディア 「ブロツキー」の意味・わかりやすい解説

ブロツキー

旧ソ連生れの詩人。ユダヤ系。レニングラード(現サンクト・ペテルブルク)出身。独学で幅広い教養を習得し,とりわけジョン・ダンオーデンなどの英米詩を愛読。さまざまな職につきつつ早くから詩を書きはじめるが,1963年に社会的に有害な〈徒食者〉として逮捕。流刑を経て1972年米国に亡命。ロシア詩の伝統上まれな形而上的詩風で知られる。ロシア語および英語による詩作品の他に,戯曲《大理石》(1984年)や英語版のエッセー集《ウォーターマーク》(1989年,邦題《ヴェネツィア》)など。1987年ノーベル文学賞受賞。
→関連項目バラトゥインスキー亡命文学

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブロツキー」の意味・わかりやすい解説

ブロツキー
Brodsky, Joseph Aleksandrovich

[生]1940.5.24. レニングラード
[没]1996.1.28. ニューヨーク
ソ連生れのアメリカの詩人。ユダヤ系。7年制の学校を卒業したのち,15歳から職を転々とし,1957年頃から詩作を始める。当初からソ連国外で高い評価を得るが,64年から1年半「社会の屑」として強制労働に処せられる。 72年,国外追放の形でアメリカに亡命。ミシガン大学などで教鞭をとり,77年帰化。英語,ロシア語で創作,端正で知的な詩風を示した。 87年,47歳の若さでノーベル文学賞を受賞。主作品は,敬愛する詩人に捧げた『ジョン・ダンのための哀歌』 Elegy for John Donne (1963) ,『選詩集』 Selected Poems (73) ,『ウラニアに寄せて』 To Urania (87) ,戯曲『大理石』 Marbles (84) など。

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