ブーゲンビル(英語表記)Bougainville, Louis-Antoine de

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブーゲンビル」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル
Bougainville, Louis-Antoine de

[生]1729.11.11. パリ
[没]1811.8.31. パリ
フランス航海者軍人。1756年モンカルム侯の副官としてヌーベル・フランス(カナダ)に出征,イギリス軍と戦った。その後海軍に入り,1764年フランスのために独力で,フォークランド諸島に植民地を建設。1766年から世界一周を命じられ,12月出帆。マゼラン海峡を経て南太平洋に入り,タヒチサモアニューヘブリディーズ諸島などを歴訪,1769年3月帰国。その記録は『世界周航記』Voyage autour du monde(1771)として出版された。その後アメリカ独立戦争に参加し,1790年ブレストの艦隊司令官に就任。ナポレオン時代元老院議員ならびに伯爵となった。ソロモン諸島ブーゲンビル島,ニューヘブリディーズ諸島の同名の海峡,およびオシロイバナ科植物ブーゲンビレアは彼の名にちなむ。

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改訂新版 世界大百科事典 「ブーゲンビル」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル
Louis Antoine de Bougainville
生没年:1729-1811

フランスの航海者,数学者,軍人。ブーガンビルとも記す。パリに生まれ,20代前半で数学者として名声を博し,ローヤル・ソサエティ(ロンドン王立協会)の会員となった。1756年にカナダへ行き,副官としてイギリスとの戦争に加わった。戦後自費で南大西洋のフォークランド諸島に入植地を建設したが,67年にスペインに譲り渡すことになり,この代償としてフランス初の太平洋探検隊の隊長のポストを得た。1766-69年ブドゥーズ号でフランス人としては初の世界一周を果たした彼は,ソロモン諸島北西端の島とその南側の海峡にその名をとどめている。ディドロ《ブーガンビル航海記補遺》の種本ともなった彼の《世界周航記》は1771年に出版(翌年英訳)され,注目を集めた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーゲンビル」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル
ぶーげんびる
Louis Antoine de Bougainville
(1729―1811)

フランスの航海者、軍人。パリ生まれ。1753年陸軍入隊。著書『積分法論』(二巻、1754~56)でロンドン王立協会の会員になる。56年カナダでフレンチ・アンド・インディアン戦争に参加。63年海軍に移り、政府の依頼で南大西洋フォークランド諸島にフランス植民地を建設したが、のちにスペインの抗議で放棄。66~69年フランス初の世界周航を指揮、大洋州でタヒチ、サモア、ニュー・ヘブリデス、ニュー・ブリテンなどの島々を探検。16世紀にスペイン人メンダーニアが訪れたソロモン諸島の間を、それと気づかずに航行。同諸島中のブーゲンビル島と、植物ブーゲンビレアは彼の名にちなむ。71年出版の『世界周航記』は有名。79~82年アメリカ独立革命を支援、イギリス海軍と交戦。のちにナポレオン1世から元老院議員、伯爵に叙せられた。

[越智道雄]

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百科事典マイペディア 「ブーゲンビル」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル

フランスの航海者,数学者,軍人。1766年―1769年にフランス最初の世界周航を指揮した。ブーゲンビル島,植物のブーゲンビリアなどは彼の発見にちなんで命名された。のちアメリカ独立戦争に際し,フランス艦隊を率いて植民地側を援助した。
→関連項目ブーゲンビル[島]

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