プシュケー(英語表記)Psychē

翻訳|Psyche

百科事典マイペディアの解説

ギリシア語で〈魂〉の意。アプレイウス《黄金のろば》中の挿話クピドとプシュケー〉の主人公。絶世の美女プシュケーは素姓を隠した愛神クピド(エロス,アモル)と夫婦となる。禁じられているにもかかわらず正体を知りたい一心で,ある夜ランプをつけて見ると,夫は美青年だった。彼は逃げ出し,数々の試練ののちにめでたく二人は結ばれる。後世好まれた画題。普通名詞としてのプシュケーは元来〈気〉の意で,のち霊魂概念と結びつくようになった。英語psychology(心理学)などはこれに由来する。プシュケーをギリシア宗教史に位置づけたE.ローデの研究(1890年)は有名。
→関連項目エロス(神話)

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世界大百科事典 第2版の解説

2世紀のローマの作家アプレイウスの《黄金のろば》に語られる挿話〈クピドとプシュケー〉中の女主人公。その名は古代ギリシア語で〈魂〉の意。ある国の王の末娘のプシュケーは,あまりの美しさゆえに愛と美の女神ウェヌス(ビーナス)にねたまれ,女神の息子クピド(キューピッド)の手で卑しい男と結婚させられかかったが,かえってプシュケーに魅せられたクピドは彼女を人里はなれた宮殿に置き,みずからの素姓が知れぬよう,夜の間だけ訪れて彼女を愛した。

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精選版 日本国語大辞典の解説

⸨プシケ・プシケー⸩
[1] 〘名〙 (psykhē) 心。霊魂。
※哲学を殺すもの(1941)〈出隆〉「魂(プシケー)をできるだけ善くあるように」
[2] (Psykhē) ローマ神話の王女。愛の神エロス(クピド)の妻。決して人前に姿を見せないエロスを見てしまい、彼女のもとを去った夫を捜して旅に出る。エロスの母アフロディテから数々の難問を課せられるが、ゼウスの力によって結ばれる。

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世界大百科事典内のプシュケーの言及

【息】より

…したがってその意義も,生理的実体をさす段階から形而上的な霊気をさす段階にいたるまで多様な展開をみせた。ギリシア語のプシュケー(魂,霊魂)はもと気息を意味した。またプネウマpneumaももと気息,風,空気を意味したが,のちには存在の原理とされるにいたった。…

【ガ(蛾)】より

…特異なものでは,フランスにおいて,背中にどくろの文様をもつオウシュウメンガタスズメの出現は凶兆とされ,19世紀フランスの詩人ネルバルの詩にもうたわれている。古代西洋には,死者の口から蛾(蝶)が出ていく絵やレリーフがあり,ギリシア語では蝶,蛾も人の魂もともにプシュケーと呼ばれる。ただし蝶や蛾を死者の魂とする考え方は,東南アジア,メラネシア,日本など世界各地にある。…

【心】より

…一つの傾向は心を身体や物体との連続あるいは親和の関係でとらえ,他方はその間の非連続と対立関係を強調し,身体的・感覚的な存在次元を超える理性的な精神活動にもっぱら注目する。発生的な順序では第1の見方が古く,心あるいは魂に相当するギリシア語の〈プシュケーpsychē〉(ラテン語ではアニマanima)は,原義においては気息()を意味し,生きた人間の身体に宿ってこれを動かし,死に際してその身から離れ去る生気のごときものを指す言葉であった。しかしアテナイを中心とする古典期のギリシアでは,もうひとつ別の用法がすでに一般化している。…

【霊魂】より

…人間だけでなく万物にひそむとされるときはアニマanimaといわれる。また古代ギリシアでは,プシュケーという霊魂概念が知られている。このプシュケーやアニマはもと〈気息〉を意味したが,そこから,この目に見えない超自然的存在を生命の原理とする考えが発達し,やがてそれを神的実在とみなしたり,人格や精神の根元とする観念が生じた。…

※「プシュケー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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