デジタル大辞泉
「プレス」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
プレス
- 〘 名詞 〙 ( [英語] press )
- ① 押すこと。押しつけること。
- ② 衣服や布地にアイロンなどで圧力をかけ、しわを延ばしたり仕上げをしたりすること。〔モダン語漫画辞典(1931)〕
- ③ 圧力を加える機械。
- (イ) 機械の一部分のラムとベッドの間に発生した大きな力で、材料の塑性加工や圧縮加工などを行なう機械。また、その機械にかけて加工すること。
- [初出の実例]「どこかの町工場でプレスがゆるやかに上下している音」(出典:青い月曜日(1965‐67)〈開高健〉二)
- (ロ) 圧力をかけて液汁をしぼる機械。圧搾機。
- ④ レコードなどを原盤から複製すること。
- [初出の実例]「そこでわざわざプレスしたレコードがここでよう売れよるんです」(出典:羽なければ(1975)〈小田実〉二八)
- ⑤ 印刷。印刷物。出版物。新聞。また、新聞社。報道機関。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
プレス
press
高い反力に耐えるハウジング(枠組み)の中で材料に圧縮荷重を与えて変形させる装置。荷重の方法としては,リンク機構とピストン・シリンダー機構のものがある。前者にはメカニカルプレス,後者には空気圧プレス,水圧プレス,油圧プレスがある。また,動作機構が単数の単動プレスと二つの複動プレスがある。小さい製品としては縫針のようなものから,大きいものでは容量1万5000tのプレスで数十tの鋼塊を成形するものまで,幅広い条件で活用されている。大型鋼塊をはじめとする大型素材または部品の熱間鍛造用のプレスがプレスのなかでは最も荷重容量が大きい。発電機用のローター,ジェットエンジン用の耐熱合金の熱間鍛造がこれで行われる。据込みに近い自由鍛造から,加工度は小さいが型鍛造のために大きな荷重を必要とする大型精密熱間鍛造まで,大容量のプレスを用いて行われる。小型の鋼の冷間鍛造部品の製造には,単位時間当りの打数が大きい,ハンマーに近いメカニカルプレスが使用されている。板材の成形にも,板取りやブランキングを含めてプレスを欠かすことはできない。自動車工場でのパネル類のプレス加工は複動タンデムシステム(連続圧延法)が用いられ,1列7~8台のプレスが数十列並んだ工場で2工程から3工程ずつ消化されて材料が順次送られて成形される。材料の送りも,近年はほとんどマニピュレーターにおきかえられ自動化されつつある。人手を要するのは型換えのときくらいである。以前はプレス作業というと指などの切断事故が多発したが,現在ではプレスの中へ手を入れる必要のないほど自動化が進んできている。小型の部品の生産に関しては,プレスによる鍛造と,鋳造+NC工作機とが,労働生産性や歩留りなどで激しい競争を演じている。最近それ自体をロボットと呼ぶことができるほど計装され,また自動送り,自動位置決め,自動姿勢制御の機能を備えたプレスも出現し,またプレスとそれに付帯するロボットという形でME化を実現しているケースもある。プレスというのは,基本的には,ハウジングと圧縮機構とを組み合わせた装置であるから,圧縮力を利用する加工であれば鍛造や板成形に限らない。押出加工も力源として液圧プレスを利用している。なお,ハウジングの中で鍛造や成形を行うために組み込む工具をサブプレスと呼ぶ。プレスが何に利用されるかは,このサブプレスで定まる。
→板金プレス加工
執筆者:木原 諄二
プレス
La Presse
フランスの新聞。1836年7月1日エミール・ド・ジラルダンが創刊した夕刊紙。広告収入に大幅に依存したフランス最初の日刊新聞で,ほかの新聞のほぼ半分の購読料だった。広告の利用や,バルザックやE.シューなどの新聞小説の創設により部数は拡大したが,王党派よりの紙面構成で不振に陥り,85年5月にいったん廃刊した。88年6月ブーランジスム左派の機関紙として復刊,その後は所有者や政治色を変えながら存続し,1915年前後にはパリの夕刊紙では最大の発行部数(約7万)を誇った。しかしまもなく衰退し,29年6月停刊した。34年9月に復刊されたものの,35年7月16日再び停刊,消滅した。
執筆者:稲葉 三千男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
プレス
press
プレス加工に用いる機械の総称。2個以上の対をなす工具を相対運動させ,工具間にはさんだ被加工材を成形する。動力機構から分類すると,人力によるハンドプレスと動力駆動によるパワープレスとに大別できる。ここでは工業的なパワープレスの代表例をあげる。 (1) クランクプレス 最も一般的なプレスで,はずみ車の回転をクランク機構によって往復直線運動に変え,上型 (ラム部先端に取付ける) を上下させて作業する。クランク軸の両側にカム装置を設け,素材を押えるようにしたものをカム式複動プレス,クランク機構ではなく倍力装置としたものをトグル複動プレス,クランク軸の代りに偏心軸を用いるものをエキセンプレス,偏心歯車を使用するものをクランクレスプレスという。クランクプレスの一種であるプレスブレーキは,スチールやアルミニウムサッシ,シャッタなどの長尺物を折り曲げる場合に用いられ,成形,穴あけ,絞りなどの加工にも流用できる。 (2) 摩擦プレス (フリクションプレス) ねじに取付けられているはずみ車を摩擦車によって回転させ,ねじ下端部の上型に往復直線運動を与えて作業する。はずみ車の全エネルギーを短時間で一度に放出して作業するので,打抜き加工には適するが,絞り加工には不向きである。 (3) 液圧プレス 高圧の水または油をシリンダに送り,ラム (大きなピストン) によって先端の上型を往復運動させて加工する。行程が容易に調節でき,加圧状態を任意に保持できる長所をもち,大型素材の絞りや曲げ加工などに使用される。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
プレス
材料に強圧を加えて圧縮,切断や,曲げ,絞りその他の成形加工などを行う機械の総称。材料は金属,プラスチック,繊維,紙など広範囲にわたり,機械の種類もきわめて多いが,主要なものは板金加工用と鍛造プレスである。また構造からは機械プレスと液圧プレスに大別される。前者は電動機などの動力をクランク,摩擦車などの機構で圧縮力に変えるもの,後者は圧力水,圧力油をシリンダーに押し込んで圧縮力を得るものである。特に自動車車体部品用には連続自動化された大型のプレスが使われている。
→関連項目板金
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
プレス【press】
コンピューターのマウスを操作する方法のひとつ。ボタンを押したままにすること。◇「長押し」ともいう。プレスしたままマウスを移動させることを「ドラッグ」という。⇒クリック
出典 講談社IT用語がわかる辞典について 情報
プレス
マウスボタンを押し下げたままの状態にすること。プレスのことがクリックと表記されていることもあるが、誤用である。
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のプレスの言及
【新聞】より
…
【定義】
広い意味では,多数の人々に情報,意見などを伝達するマス・コミュニケーションmass communication(英語),プブリツィスティクPublizistik(ドイツ語)の全媒体をさす。英語のプレスやジャーナリズムに相当する概念である。狭い意味では,多数の読者のために刊行される,時事についての報道,解説,評論を主とした内容とする定期印刷物をいう。…
【ウェイトリフティング】より
…このとき採用された種目は〈両手によるクリーン・アンド・ジャークtwo hands clean and jerk〉と〈片手によるクリーン・アンド・ジャークone hand clean and jerk〉の2種類で,体重制限はなく,参加者も少なかった。その後,1924年のパリ大会(第8回)までは,〈両手によるスナッチtwo hands snatch〉や〈片手によるスナッチone hand snatch〉〈両手によるプレスtwo hands clean and press〉などがそのときどき適当に盛り込まれ,種目数も一定しなかった。〈両手によるプレス〉〈両手によるスナッチ〉〈両手によるジャーク〉の3種目方式に統一されたのは,28年のアムステルダム大会(第9回)からである。…
【ジラルダン】より
…1831年に女流作家デルフィーヌ・ゲーと結婚,この頃からパリでサロンを開き一流の政治家や文学者を集めた。36年には政治新聞《プレス》紙を刊行したが,同紙の購読料を大新聞の半額にし,その欠損を広告収入で埋めるという,当時としては画期的な経営方針をとった。また新聞小説を掲載して読者層を大幅に拡大した。…
※「プレス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」