日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベークランド」の意味・わかりやすい解説
ベークランド
べーくらんど
Leo Hendrik Baekeland
(1863―1944)
ベルギーの化学者、技術者。写真用印画紙ベドックス、合成樹脂ベークライトの発明で有名。8歳のおり、貧しい境遇から出発して成功したベンジャミン・フランクリンに感銘、開拓者精神を育てた。成長して化学の領域に足を踏み入れ、21歳でガン大学の学位を取得し、教壇に立った。1889年に招かれてアメリカの写真フィルム・印画紙製造会社で2年間研究した。その成果が暗室利用可能の印画紙ベドックスの発明である。その実用化から得た利益が合成樹脂ベークライトの発明(1908)を生んだ。1910年にベークライト製造会社をアメリカに設立した。彼の高分子物質の構造・物性についての予見は次々に証明された。彼の理想は、同時代の多くの科学者のそれのように、科学の成果で社会の進歩を実現することにあった。アメリカ化学会会長として活躍し、後年コロンビア大学名誉教授となった。
[川又淳司]