ロシアで18世紀以降に発達した暖房装置。ロシア語で炉を意味する。暖炉を起源としたれんが造の炉で、建物の壁と一体化して設けたりする。また、暖房だけでなく炊事用のかまどを兼ねるものもある。炉内で煙道を屈曲させ煙から十分に吸熱する構造になっており熱効率がよい。れんが造のため熱容量が大きく、ダンパーで空気取入量を調節することにより、燃焼を徐々に行い暖房効果を持続させることが可能で、燃量投入は日に1、2回ですむ。したがって、夜間や暖かい日には停止するような間欠的暖房には不向きで、あくまで寒冷地用の暖房装置である。炉の表面温度は100度C以下で、温感上快適な暖房方式である。わが国には明治時代に導入されたが、高価なため寒冷な北海道の高級な建物に適用されるにとどまった。
[吉田治典]
『日本建築学会編『設計計画パンフレット10 住宅の暖房設計』(1960・彰国社)』
ロシアの暖炉を指す。ロシア語のペチカは炉を意味するペーチpech’からきている。発生については東ヨーロッパで発見された前3000年のものと推定される粘土製の炉までさかのぼることができるが,これがロシアの南部から北部へと広がった。ロシア式ペチカは西へも広まり,ポーランド人,チェコ人,スロバキア人の間にも見られる。南部ウクライナや一部工業地帯を除き,19世紀半ばまでは煙出しのない簡単なものがほとんどで,煙突のある農家が一般的になったのは19世紀末のことである。伝統的にはイコンに対角する位置に作られた。現代のペチカには煙を通して暖をとるために幾重にも煉瓦で仕切った煙道がつけられている。ペチカの機能は食物の煮炊き,パン焼き,室内の暖房,換気,衣服や住居および穀物の乾燥,また家畜のための水を暖めることなど多様である。上に寝床をとり暖をとることもできた。側面には装飾のためにタイルをはることが広く行われた。
執筆者:坂内 徳明
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… 個別暖房は古くから利用され,日本では火鉢,炬燵(こたつ),囲炉裏(いろり)が,ヨーロッパ諸国ではストーブ,暖炉が多く使われてきた。床下に数条の煙道を作るオンドルや壁体内に煙を流すペチカは,床や壁の表面温度を高め,主として熱放射によって暖房を行うもの(放射暖房という)で,現在の日本ではこのような形式の暖房方法としては床や壁に埋め込んだパイプに温水を強制循環させる形が多い。これらは直接暖房の一種である。…
※「ペチカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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