ペリオイコイ(英語表記)perioikoi

デジタル大辞泉 「ペリオイコイ」の意味・読み・例文・類語

ペリオイコイ(〈ギリシャ〉perioikoi)

古代ギリシャ、スパルタの半自由民。完全市民ヘイロタイとの中間参政権はなかったが共同体の自治は認められ、従軍の義務を負った。農業を主に、商業・手工業従事

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ペリオイコイ」の意味・読み・例文・類語

ペリオイコイ

〘名〙 (perioikoi) 古代ギリシア、スパルタの半自由民。参政権はなく、従軍と貢納の義務を負った。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ペリオイコイ」の意味・わかりやすい解説

ペリオイコイ
perioikoi

古代スパルタにおいてスパルタ人(市民)とヘイロータイの中間に位置した人々。語義は〈周辺居住者〉。スパルタ人のラコニアメッセニア征服の過程で,スパルタに従属させられたドリス人(ラコニアに侵入したスパルタ人以外のドリス人,一部のメッセニア人,スパルタから植民に送り出されたスパルタ人)と一部のアカイア人の共同体成員で,その共同体は総数100に達したといわれ,海岸地域や中心市スパルタ周辺の山地に散在し,メッセニアよりもラコニアに多かった。ペリオイコイはスパルタ人とともに〈ラケダイモン人〉と総称され,彼らの共同体内では自治を認められたが,スパルタ・ポリスに対して従軍と貢納の義務を負った。彼らの大部分は土地所有者で,少数のヘイロータイを使って農耕に従事したが,商工業に携わる者もあった。またクレタ島テッサリアエリスなどにもペリオイコイと呼ばれる人々がいた。
ヘイロータイ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペリオイコイ」の意味・わかりやすい解説

ペリオイコイ
perioikoi

原義は「周辺住民」。古代ギリシア,スパルタの政治体制のなかでは,完全市民であるスパルタ人 (スパルチアタイ) とともにスパルタの国家を形成した劣格市民。スパルタに征服された周辺のラコニア,メッセニアの住民をさす。彼らはみずからの共同体を形成し,政治的には従属したが,ある程度の地方自治を許された。スパルタ市民と同等の兵役納税義務を負っており,彼らに代って商工業活動に従事した。しかし,兵役に従い共同体を治めたペリオイコイはおそらく土地所有者であった。ペロポネソス戦争レウクトラの戦いに従軍したが,概してスパルタに従順であった。後世ローマの支配のもとに周辺都市はスパルタからの独立を得た。なお,クレタやエリスではスパルタと同様に劣格市民を表わし,テッサリアでは従属的同盟者をさした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ペリオイコイ」の意味・わかりやすい解説

ペリオイコイ

古代ギリシア語で〈周辺居住者〉の意で,ポリスにおける半自由民,従属民。市民とヘイロータイの中間に位置し,納税・従軍義務はあるが参政権はなかった。スパルタなどドリス人系のポリスに多かった。
→関連項目ラコニア

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペリオイコイ」の意味・わかりやすい解説

ペリオイコイ
ぺりおいこい
perioikoi ギリシア語

「周辺に住む人々」の意で、古代ギリシアの一部のポリスに存在した半自由民。アルゴリス、クレタ、テッサリアにも存在したが、とくにスパルタにはその共同体が100ほどあったと伝えられる。スパルタのペリオイコイの実態がもっともよくわかり、彼らの多くはドーリス人であるが、一部東方方言群に属する人々もいて、メッセニア併合の過程でメッセニア人も一部この身分となった。彼らはスパルタの正式の国家構成員であったが、政治的権利はなかった。しかし彼らの共同体内の自治は許された。従軍義務を課せられ、古典期にはスパルタの兵力の大部分を占めた。生活は農業を主とし、貧富の差があり貴族的階層も存在した。スパルタは市民に商工業を禁じたので、商工業活動はもっぱらペリオイコイの仕事となり、この面でも彼らの存在はスパルタに不可欠であった。

[古山正人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ペリオイコイ」の解説

ペリオイコイ
perioikoi

ギリシア語で「周囲に住む者」を意味し,一部のポリスにみられた完全市民以外の自由人。その典型はラコニア地方のペリオイコイで,彼らはスパルタ市民とともにラケダイモン人の国家共同体に属していたが,参政権はなく,従軍の義務があった。彼らの系譜は古くは先住民とされたが,征服者たるドーリア人の一部だったとの説もある。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「ペリオイコイ」の解説

ペリオイコイ
perioikoi

古代ギリシアのスパルタの半自由民。「周辺の民」の意
参政権はもたず,軍事・納税義務を負い,農耕だけでなく商工業に従事した者もいた。都市の周辺に住み,市民とヘロット(国有奴隷)の中間身分で,征服者のドーリア人の一部といわれる。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のペリオイコイの言及

【スパルタ】より

…しかし近年の考古学のもたらした知見は,ヘラクレス一族の帰還という伝承に基づく上記の通説に深く疑いを挟み,被支配民の蜂起によるミュケナイ諸王国の滅亡などを示唆している。異説の当否のいかんによってはスパルタの国家成立過程,ペリオイコイヘイロータイの身分の由来についても根本的な見直しがせまられる。いずれにせよ,前8世紀中ごろまでには統一国家が形成され,その領域はスパルタ市を中心におおよそラコニア一帯に及び,前8世紀後半には,肥沃な土地を求めてメッセニアに侵入してステニュクラロス平野を併合し,その土地を貴族の間で分割し住民をヘイロータイとした(第1次メッセニア戦争)。…

※「ペリオイコイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android