ペースメーカー(英語表記)pacemaker

翻訳|pacemaker

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ペースメーカー
pacemaker

心臓の拍動の頻度を調節する歩調とり (ペースメーカー) は右心房の洞房結節にあり,ここで発生した興奮が心臓刺激伝導系を伝わって心室筋を刺激して,心臓が収縮をする。この刺激伝導系の障害などのために心拍数が病的に少くなった場合には,人工的に電気刺激して,適当な回数で心臓を拍動させる必要がある。そのための電子装置をペースメーカー,正確には心臓用人工ペースメーカーという。電気パルスを発生する電子回路,電源電池,刺激を心臓に伝えるリード線と電極などから成る。電極は,心筋に直接縫いつけるもの (心筋電極) と,血管を通して心腔内に挿入するもの (カテーテル電極) とがある。緊急時や短期間の場合は装置は体外に置くが,普通は体内に埋込む。最近は長寿命電池 (リチウム電池) ,小型高信頼性回路 (IC,LSI) などの発達に伴ってすぐれたペースメーカーが実用化している。また生体の需要に応じてレートが自動的に変るレート応答型ペースメーカーも開発されている。ペースメーカーの定期的チェックのため,電話回線を利用して心電図を家庭や診療所から遠隔の中央病院に伝送する電話伝送も実用化している。これは一種の遠隔医療である。

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知恵蔵の解説

ペースメーカー

中・長距離走マラソンで、他の選手の目標とするペースに合わせてレースを先導するランナー。自分の着順は初めから度外視して走るので、マラソンでは20km、30kmあたりで途中棄権する場合が多い。ウサギの模型を犬に追いかけさせるドッグレースになぞらえて、ラビットともいう。日本では、2003年9月の日本陸上競技連盟理事会で正式に導入が決まった。五輪や世界選手権ではさすがにペースメーカーは存在しない。

(小森貞子 スポーツライター / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

ペースメーカー

(1)スポーツ用語。陸上競技の中距離以上の競走や自転車競争で,先頭を走って,記録を作ろうとする選手を引っぱる役。(2)心臓ペースメーカーのこと。心筋に直接,電気的刺激を与えて心拍数を増加させる装置。アダム・ストークス症候群などの治療に用いる。刺激装置が体外にあり,電極を心筋に刺入する体外式,心臓カテーテルの先端に電極を付けたカテーテル式,および植え込み式がある。最古の試みは1932年,米国のハイマンによるが,本格的な開発は1950年代に入ってからである。短期体外式心筋ペースメーカーは1957年に米国のワイリッチによって,また長期体内植え込み式ペースメーカーはやはり米国のチャーダックによって人体に使用され,以後の進歩の口火をきった。植え込み式には電池自蔵型と,送信装置が体外にある誘導型の2種があり,前者が広く用いられている。近年,携帯電話から出る電波による誤作動の危険性が指摘されており,郵政省の不要電波問題対策協議会は1996年,〈22cm程度以上離す〉よう暫定ガイドラインを発表した。
→関連項目人工臓器電磁波障害メディカルエレクトロニクス

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世界大百科事典 第2版の解説

ペースメーカー【pacemaker】

スポーツ用語としてのペースメーカーは,陸上競技の中距離以上の競走や自転車競走などにおいて,先頭を走って,他の選手を引っぱり,他の選手にとって記録をつくる目安になる人をいうが,ここでは心臓ペースメーカーについて述べる。すなわち,心臓の動きには一定の調律(リズム)があり,この調律の異常のために生命あるいは日常生活に支障をきたす場合には電流で心筋を刺激して調律を整えてやる必要があるが,この電流による心筋刺激装置をペースメーカーという(なお正常のヒト心臓では洞房結節がペースメーカーとなって心臓の調律を支配しているので,この人工臓器の名称は厳密にいえば人工ペースメーカーである)。

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大辞林 第三版の解説

ペースメーカー【pacemaker】

中距離以上の競走や自転車競技などで、先頭を走って基準となるペースをつくる選手。
心臓に電気刺激を周期的に与えて収縮させ、心拍を正常に保つ装置。

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世界大百科事典内のペースメーカーの言及

【刺激伝導系】より

…この律動の規則性は,右心房内大静脈開口部に存在するわずか1.5mm×0.5mmの心筋細胞の塊(洞房結節または洞結節という)の反復興奮のリズムにより調律されている。このように洞房結節は心臓の収縮,弛緩のリズム全体を決定しているので,歩調とりまたはペースメーカーpacemakerといわれる。洞房結節の細胞群はイギリスのキースArthur Keith(1862‐1956)とフラックMartin Flack(1882‐1931)により1907年に発見されたもので(それでキース=フラック結節ともいう),他の心房,心室の壁を構成する心筋細胞より小さい。…

【アダムズ=ストークス症候群】より

…治療としては,発作中には,胸部の叩打や人工呼吸をはじめとする心肺蘇生術を行う。不整脈の治療が必要で,心ブロックのある場合はペースメーカーの植えこみ,心室頻拍・細動には抗不整脈薬や植えこみ型除細動器の使用がおもな治療法となる。基礎疾患の重症度にもよるが,明らかな原因のない心ブロックなどでは,ペースメーカーによって予後は非常によくなる。…

【刺激伝導系】より

…この律動の規則性は,右心房内大静脈開口部に存在するわずか1.5mm×0.5mmの心筋細胞の塊(洞房結節または洞結節という)の反復興奮のリズムにより調律されている。このように洞房結節は心臓の収縮,弛緩のリズム全体を決定しているので,歩調とりまたはペースメーカーpacemakerといわれる。洞房結節の細胞群はイギリスのキースArthur Keith(1862‐1956)とフラックMartin Flack(1882‐1931)により1907年に発見されたもので(それでキース=フラック結節ともいう),他の心房,心室の壁を構成する心筋細胞より小さい。…

※「ペースメーカー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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