水銀電池(読み)すいぎんでんち(英語表記)mercuric oxide-zinc cell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水銀電池
すいぎんでんち
mercuric oxide-zinc cell

酸化第二水銀陽極亜鉛陰極水酸化カリウム溶液を電解質とした一次電池。発明者の名をとりルーベン電池ともいう。開放電圧は 1.343V,定格電圧は 1.2V。使い終わるまで電圧の変化が少なく,補聴器,各種計測器などに広く使われていたが,水銀による環境汚染を防ぐため,日本国内では 1995年に生産が中止された。

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百科事典マイペディアの解説

水銀電池【すいぎんでんち】

ルーベン電池,RM電池とも。酸化第二水銀と微粉黒鉛の混合物を陽極減極剤,アマルガム化した亜鉛粉末を陰極とし,電解液の水酸化カリウム溶液をα‐セルロースなどに吸収させるかCMCなどでゲル化し,全体を鋼製の容器入した乾電池(一次電池)。1947年S.ルーベンの考案。起電反応はZn+HgO+H2O→ZnO+Hg+H2O。起電力約1.35ボルト。小型で電気容量が大きく,使用中の電圧も安定で寿命が長いが,低温(4℃以下)では性能が低下する。水銀中毒など,健康や環境への影響から,1995年を最後に日本では製造を中止した。

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世界大百科事典 第2版の解説

すいぎんでんち【水銀電池 mercury cell】

陽極活物質に酸化水銀(II)HgO,陰極活物質に亜鉛Zn,電解液に酸化亜鉛ZnOを飽和した30~40%水酸化カリウムKOH水溶液を用いた一次電池。1947年にアメリカのルーベンS.Rubenが発明したもので,発明者の名を冠してルーベン電池,あるいは発明者と製造会社であるマロリーMallory社の頭文字をとってRM電池ともいう。扁平型(ボタン型),円筒型などの種類がある(図1)。陽極はHgOと黒鉛の粉末を混合成形したもの,陰極はアマルガム化した亜鉛粉末を成形したものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水銀電池
すいぎんでんち
mercury battery
mercury cell
mercury oxide cell
mercury oxide battery
Ruben battery
RM battery

正極活物質に酸化水銀HgO、負極活物質に亜鉛Zn、電解液に酸化亜鉛ZnOを飽和させた水酸化カリウムKOHの30~40%水溶液を用いた一次電池。第二次世界大戦中にアメリカのルーベンSamuel Ruben(1900―88)によって発明され、彼とアメリカのマロリーPhilip Rogers Malloryによって実用化され、後にマロリー電池社(現デュラセル。ジレット社の一部門を構成している)が設立された。発明者名をとってルーベン電池、また両者の頭文字をとってRM電池、さらに酸化水銀電池ともいわれる。起電反応は以下のように示される。

 (正極)
  HgO+H2O+2e-―→Hg+2OH-
 (負極)
  Zn+2OH-―→ZnO+H2O+2e-
 (全体)
  HgO+Zn―→Hg+ZnO
起電力は1.35ボルト、エネルギー密度は105~120Wh/kgである。KOHのかわりに水酸化ナトリウムNaOHを用いて耐漏液性を改善したものもある。放電容量が大きく、アルカリマンガン電池の約2.5倍、酸化銀電池の約1.5倍ある。

 水銀電池は温度特性や貯蔵性がよく、放電電圧が平坦(へいたん)であるなど一次電池としての特性に優れていて、ボタン形のものが補聴器や腕時計、カメラ、小形ラジオなどの電源に使用されてきた。しかし、水銀は環境負荷が大きいことから社会に受け入れられなくなり、日本工業規格(JIS)の「アルカリ一次電池」(JIS C 8511-1978)で制定されていた水銀電池は、1993年(平成5)の改正により規格から削除され、現在は生産されていない。その代替として空気電池(空気亜鉛電池)、酸化銀電池、リチウム電池、アルカリボタン電池などが使用されている。

[浅野 満]

『電気化学会編『電気化学便覧』(2000・丸善)』


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精選版 日本国語大辞典の解説

すいぎん‐でんち【水銀電池】

〘名〙 陽極に酸化第二水銀、陰極に亜鉛、電解液に水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液を用いた一次電池。一九四七年にアメリカのルーベンスが発明。端子電圧一・三五ボルトで、小型一次電池では放電性能が最も良く、カメラ、時計、電卓、補聴器などに広く用いられている。水銀乾電池。
※密会(1977)〈安部公房〉二「バックルの裏金を爪で開いて、中から小型の水銀電池をつまみ出す」

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