心臓ペースメーカー(読み)しんぞうぺーすめーかー(英語表記)cardiac pacemaker

日本大百科全書(ニッポニカ) 「心臓ペースメーカー」の意味・わかりやすい解説

心臓ペースメーカー
しんぞうぺーすめーかー
cardiac pacemaker

心臓の拍動数は、刺激伝導系という心臓の特殊心筋組織によって調節される。この刺激伝導系の障害によって心臓拍動数が非常に少なくなる場合(房室ブロック、洞不全症候群など)に、心臓に微少な電気刺激パルスを与えることによって心臓拍動数を正常にすることができる。このための装置が心臓ペースメーカーであり、単にペースメーカーともいう。装置は刺激発生装置と電極からなる。刺激発生装置は、パルス幅約4分の1秒、電圧2~5ボルトの電気刺激パルスを、1分間に30~120回の割合で発生することができる。刺激発生装置には、自己の心臓拍動数が増加すると刺激パルスの発生を抑制する機構があり、これをデマンド機構とよぶ。電源にはリチウム電池が用いられ、その寿命は6~10年である。刺激パルスは電極によって心臓に伝えられる。一般的には心室に刺激パルスが伝えられることが多いが、心房に伝えられることもある。刺激発生装置は重さ20グラム前後、マッチ箱または小型ライターくらいの大きさで、皮下に埋没される。電極は刺激発生装置に連結され、その先端静脈を通して心臓の心内膜に接触する。ペースメーカー全体は身体に植え込まれるため、日常生活にはほとんど支障がない。刺激パルスの数、パルス幅、電圧、刺激方式などは体外から無線で変えることもできる。ペースメーカーのなかには、心房と心室が調和して拍動するよう設計されたものもある。また、心室頻拍心室細動発作に対する植え込み式除細動器にもペースメーカー機能が備わっている。脚ブロックによる左右心室の収縮の時間のずれによる心臓の機能不全に対して、左右心室に同時に電気刺激を行うことにより症状の改善を計る両室あるいは多点ペーシング法が1990年代に開発された。この方法を用いた除細動器は2006年(平成18)に保険適用となった。

[須磨幸蔵]

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