ホムス(その他表記)Homs

デジタル大辞泉 「ホムス」の意味・読み・例文・類語

ホムス(Homs)

シリア西部の都市。ダマスカスの北約135キロメートル、オロンテス川沿いに位置する。同国第3の規模をもつ。周辺は豊かな農業地帯であり、石油精製化学工業も盛ん。古くから交通の要地として知られ、古代ローマ時代はエメサと呼ばれた。正統カリフ時代の武将が眠るハーリド‐イブン‐アル‐ワリードモスクのほか、近郊には十字軍の拠点だったクラックデシュバリエがある。ヒムシュヒムス。アル‐ホムス。

ホムス(Al Khoms)

リビア北西部の港湾都市。首都トリポリの東約120キロメートル、地中海沿岸に位置する海岸保養地。柑橘類オリーブナツメヤシなどの農産物集散地でもある。東郊に、世界遺産文化遺産)に登録された古代ローマ時代の都市遺跡レプティスマグナがある。アルホムスフムス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホムス」の意味・わかりやすい解説

ホムス
Homs

シリア中央部,ホムス県の北西部にある県都。アラビア語ではヒムシュ Hims。オロンテス川に沿い,南西にホムス湖を控え,海岸地方から内陸へいたる唯一の自然通路の東端に位置する。古代にはエメサと呼ばれ,付近にエジプトのラムセス2世ヒッタイトの王ムワタリシュ古戦場 (前 1299) がある。エメサには太陽神をまつる寺院があり,祭司を兼任する国王がローマ時代を通じて君臨していた。 636年イスラム教徒が占領し,ヒムシュと改名。オスマン帝国の支配下では州都に定められた。現在は商業都市として繁栄。農産物では大麦,タマネギなどを,工業製品では宝石,絹織物綿織物毛織物,ベルト,マントなどを産する。 1959年国営製油工場が完成したほか,農業試験場,植物油,肥料,製糖などの工場がある。地中海沿岸地方と内陸部を結ぶ鉄道,道路の重要な分岐点であり,首都ダマスカスと北のアレッポを結ぶ道路上の要衝でもある。 642年にこの地で死んだアラブの名将ハーリド・イブヌル・ワリードモスクが建造され (1908) ,近くに十字軍時代の名城クラク・デ・シュバリエもある。人口 51万 8000 (1992推計) 。

ホムス[リビア]

「フムス」のページをご覧ください。

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改訂新版 世界大百科事典 「ホムス」の意味・わかりやすい解説

ホムス
Ḥomṣ

シリア西部,オロンテス川東岸の都市。ヒムスḤimṣともよばれる。人口80万(2004)。同名県の県都。町の起源は古く,5000年前にさかのぼるともいわれ,古代セム系民族のバアル神殿の所在地であった。ローマ時代にはエメサEmesaとして知られた。637年アラブ・イスラム軍が無血入城し,以後,ウマイヤ朝,アッバース朝アイユーブ朝など支配者は変転したが,小麦,大麦,ブドウなどを栽培する肥沃な平野部の商業中心地としての町の性格は変わらなかった。近年は石油精製,製粉,肥料,綿・絹織物,食品加工などの製造業が行われる工業都市でもある。イラクのキルクーク油田およびシリアの油田からの送油管が通過している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホムス」の意味・わかりやすい解説

ホムス(リビア)
ほむす
Homs

北アフリカ、リビアの地中海沿岸にある港湾都市。首都トリポリの東120キロメートルに位置する。人口18万7900(2002推計)。周辺の農業地帯で生産される穀物、柑橘(かんきつ)類、オリーブなどの農産物の取引や加工が行われる。観光地としても知られ、美しい海水浴場や東の郊外にローマ時代の古代都市レプティス・マグナの遺跡がある。

[藤井宏志]

世界遺産の登録

レプティスの都市遺跡が1982年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「レプティス・マグナの古代遺跡」として世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録された。しかし内戦に伴う政情不安などにより、2016年には危機遺産リスト入りしている。

[編集部 2018年5月21日]



ホムス(シリア)
ほむす
Homs

シリア西部の都市。ヒムシュimşともいう。首都ダマスカスの北135キロメートルに位置する。人口75万1500(2003推計)で、同国第三の都市。アレッポなどの主要都市に至る幹線道路が通じる交通の要地で、古くからオロンテス川流域の肥沃(ひよく)な平野で産する穀類、果実、綿花、繭の集散地。絹織物、宝石加工など伝統工業が行われる。イラクのキルクークからバニヤースに至る送油管が通過し、石油精製、化学工業も盛ん。

[原 隆一]

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百科事典マイペディア 「ホムス」の意味・わかりやすい解説

ホムス

ロシア連邦内サハ共和国やトゥバ共和国の口琴。サハのものは鉄製で,民族の精神的支えともいえるほど重要な位置を占め,演奏技術,製作技術,学術研究とも非常に発達している。トゥバでは鉄製と竹製の2種類があり,広義には口腔を共鳴器として使用する楽器すべてを指す。

ホムス

シリア北部,北流するオロンテス川河岸にある都市。ヒムスとも。地中海式気候でシリア西部農業地帯の中心地である。都市の周辺にはブドウの果樹園が多い。絹織物,宝石細工などの手工業のほか,石油精製などの工業もある。アレッポ,トリポリ,ダマスカスへの鉄道の要地。65万2600人(2004)。

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世界大百科事典(旧版)内のホムスの言及

【十二イマーム派】より

…信徒はイスラム法の解釈についてこれら個々の法学者に直接質問し,指示を仰ぎ,密接な関係をもつ。信徒は所得に応じ〈五分の一税(ホムスkhoms)〉を彼らに差し出す。【加賀谷 寛】。…

※「ホムス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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