翻訳|hornfels
接触変成作用によって生成する、組織に著しい方向性のない変成岩の総称。元来は泥質堆積(たいせき)岩に由来するものについて用いた用語であるが、いまでは無方向組織をもつ変成岩を一般にホルンフェルスという。泥質堆積岩から導かれたホルンフェルスは、黒雲母(くろうんも)、紅柱石、菫青(きんせい)石、正長石などを主成分とし、変成作用の温度が高い場合には、珪線(けいせん)石や斜方輝石、ざくろ石なども生成する。塩基性火成岩起源のものには、斜長石、普通角閃石、透輝石などが出現する。さらに、原岩が石灰質の場合には、石灰ざくろ石、透輝石、珪灰石、ベスブ石、柱石など、カルシウムを含む鉱物で特徴づけられる岩石ができる。このような石灰質ホルンフェルスは、とくにスカルンとよばれる。ホルンフェルスは、火成岩貫入体の周りの比較的狭い地域に生成するが、圧力に対して温度が高く、変形作用が弱い場合には、広域変成作用によってもできることがある。日本の領家変成帯(りょうけへんせいたい)は、このようにホルンフェルス状の変成岩が広く分布する広域変成帯の例である。
[橋本光男]
『橋本光男著『日本の変成岩』(1987・岩波書店)』
接触変成岩ともいい,接触変成作用をうけた変成岩のこと。接触変成作用で再結晶した岩石は多くの場合,片理や片麻状組織をもたない。またホルンフェルスに含まれている再結晶鉱物は互いに入り組んでいたり,互いに他の鉱物を包みこんだりしている。このためこの変成岩は塊状緻密(ちみつ)で非常に硬い。また,接触変成作用をうけた岩石はしばしば特有な縞模様ができる。これは熱源である貫入火成岩体から大量の水分などが周囲の岩石に供給され,その水分中に岩石の成分が溶けこんだり,水分から岩石に成分が付け加わったりすること(交代作用という)によって形成されるらしい。このようなホルンフェルスをところによっては虎岩と呼んでいる。
執筆者:鳥海 光弘
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…熱変成作用でできた変成岩は片理や片麻状組織を示さず,塊状で緻密(ちみつ)であり,結晶は互いに入り組んでいる。このような変成岩はホルンフェルスと呼ばれる。(2)広域変成作用 造山運動のときには地下深く押し込まれた堆積岩や火成岩が広い地域にわたって変成作用をうける。…
※「ホルンフェルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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