翻訳|homespun
〈家庭で紡いだ〉すなわち手紡ぎによる太番手の粗糸,およびこれを用いた織物をいう。手紡ぎ,手織が生み出す独特の風合いと温かみが特色で,通常は平織の毛織物を指す。ホームスパンは製織後,手作業でセッケン水に浸し,たたきながらわずかに縮絨(しゆくじゆう)し,その後棒巻き,湯のしをして形を整え,乾燥を行って仕上げる。布幅は,手織機を使用するので通常はシングル幅(71~74cm)である。ツイードも元来はホームスパンの一種である。現在は機械による紡績糸を使用し,製織のみ地元の農家の手織による織物に変化してきている。日本でのホームスパンづくりは大正時代の初め,岩手県の一農家で始められ,後に組合組織による生産が知られている。岩手のホームスパンは手作業を中心とした伝統的生産方法をとり,風合いと民芸的な色柄を生かし,高く評価されている。
執筆者:山崎 宗城
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
もともと手紡の、繊度の不ぞろいになった太い紡毛糸を使い、粗く平織に手織機で製織し、縮絨(しゅくじゅう)せずに仕上げた紡毛織物であった。そのため素朴な味があり、多くの人々に愛用されてきた。現在ではこの風合いに似せて、繊度を不ぞろいにし、雅味をもたせて紡いだ太番手の機械紡績糸を使い、力織機で織ったものである。この織物の風合いは、ツイードとよく似ているため、混同されることが多い。というのも、ツイードの場合は斜文(しゃもん)織であるのに対し、ホームスパンは平織であるということが違っているにすぎない。用途は、婦人コート、背広、運動服、室内装飾品などである。
[角山幸洋]
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