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ボツリヌス菌 ぼつりぬすきん

妊娠・子育て用語辞典の解説

ぼつりぬすきん【ボツリヌス菌】

細菌の一つ。この菌は酸素が苦手。酸素が少ない状態だと、増殖して毒を出します。主に土の中に住みますが、発酵した魚、はちみつなどを介して人の体内に侵入することもあり、体にマヒなどの症状を起こします。1987年には複数の赤ちゃんが「乳児ボツリヌス症」を発症。全員が「はちみつ」を摂っていたので、その年から「赤ちゃんにはちみつを与えないで」と指導されるようになりました。この菌は芽胞を形成するので熱では死なず、はちみつが汚染されていると赤ちゃんは病気になるのです。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(愛育病院院長)、子育て編:多田裕(東邦大学医学部名誉教授) 妊娠・子育て用語辞典について 情報

知恵蔵の解説

ボツリヌス菌

ボツリヌス菌は酸素のないところで増殖する。肉類の缶詰やソーセージ、魚の発酵食品などが汚染される。この菌が食品中で増えるとボツリヌス毒素を出し、この毒素食中毒が発生、致死率は高い。12〜20時間の潜伏の後、吐き気や嘔吐が始まり、次いでめまい、頭痛、その後、特有の麻痺症状が現れる。眼の症状に特徴があり、二重に見えたり、視力の低下などの症状が出る。その他、発語障害、嚥下(えんげ)障害、腹部のはった感じ、便秘などの症状も起きる。さらに強い脱力感、手足や呼吸器の麻痺で死亡する。意識が最後まで鮮明なのも特徴。治療には抗毒素血清を投与する。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディアの解説

ボツリヌス菌【ボツリヌスきん】

細菌毒素型食中毒の原因菌の一種。熱に強い芽胞をつくる嫌気(けんき)性のグラム陽性杆(かん)菌。多くの鞭毛(べんもう)を有するが運動性は小さい。酸に破壊されにくい神経毒菌体外毒素を産生し,その毒素の含まれた食品の摂取により食中毒をきたす。
→関連項目細菌兵器

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ボツリヌスきん【ボツリヌス菌 Clostridium botulinum】

腸詰菌ともいう。芽胞をつくるグラム陽性の嫌気性杆菌。長さ4~6μm,幅0.8~1.2μm。周毛性鞭毛をもち,運動性があり,土壌中に分布している。強力な菌体外毒素(ボツリヌス毒素)を産生し,この毒素によって重篤な食中毒(ボツリヌス中毒)がひき起こされる。本菌は,毒素に対する血清型別によってA~G型に分類される。菌自体には病原性はなく,感染を起こすことはない。毒素は,タンパク質性末梢神経毒素で,あらかじめ産生された毒素が食物などとともに経口的に摂取されると神経筋接続部を侵し,摂取数時間から数日後に悪心,嘔吐,瞳孔散大などの症状を呈し,最後には呼吸麻痺によって死亡する。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ボツリヌスきん【ボツリヌス菌】

〔ボツリヌス(botulinus)はラテン語の botulus(腸詰め)から〕
バチルス科クロストリウム属の細菌。グラム陽性の嫌気性桿菌かんきんで胞子を形成する。土・植物・魚類などに分布。食品に混入した菌の胞子が発芽に際して毒素を出し食中毒を起こす。腸詰め菌。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ボツリヌス菌
ボツリヌスきん
Clostridium botulinum; botulinus bacillus

腸詰菌ともいう。芽胞を形成する,嫌気性のグラム陽性桿菌で,クロストリジウム属の代表的な病原菌である。普通,土壌中に芽胞の形で存在しているが,缶詰,瓶詰などの保存食品の中で増殖するときに,強力な外毒素をつくりだす。ソーセージ,ハム,肉類や野菜などの缶詰に混入したこの芽胞が発芽し,つくりだされた毒素によってボツリヌス中毒が起る。この毒素は,免疫学的特異性からA,B,C,D,E,F,Gの7つの毒素型に分けられる。そのうち,ヒトに食中毒を起すのはA,B,E,F型である。これらの毒素は 80℃,10分の加熱で破壊される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ボツリヌス菌
ぼつりぬすきん
[学]Clostridium botulinum (van Ermengem) Bergey et al.

バチルス科の1属の細菌で、ボツリヌス菌食中毒をおこす。グラム陽性、両端鈍円の桿菌(かんきん)で、大きさは4~6×0.9~1.2マイクロメートル(1マイクロメートルは100万分の1メートル)。細胞の末端部に卵円形の胞子を形成する。偏性嫌気性で、周鞭毛(べんもう)をもち、活発な運動を行う。生育温度は20~37℃、水素イオン濃度指数(pH)は6~8である。胞子は耐熱性で、嫌気的条件で菌体外毒素を生産する。この毒素によって食中毒が引き起こされる。培養は、普通寒天(一般細菌用培養基)で生育するが、十分な嫌気的条件が必要である。毒素は熱に比較的弱く、80℃、30分で失活する。
 ボツリヌス菌の自然界での分布は地域によって差異がみられる。また、菌型と分布に関しても、まだ不明の点が多いが、通常は、生産する毒素の抗原性によって、A~Gの型に分類される。(1)A型菌 野菜、果物、肉類に分布。(2)B型菌 肉類、飼料などに分布。(3)Cα型菌 湖水のプランクトンに分布。(4)Cβ型菌 まぐさ、動物の死体、鯨肉に分布。(5)D型菌 動物の死体に分布。(6)E型菌 魚貝類や海生哺乳(ほにゅう)類に分布。(7)F型菌 肉類に分布。(8)G型菌 土壌に分布。
 日本にはウシやウマに中毒をおこすCβ型菌とヒトに中毒をおこすE型菌の分布が多くみられる。とくにE型菌は北海道、東北地方の海岸地帯の土や河川、湖水の泥土からみいだされている。[曽根田正己]
『総合食品安全事典編集委員会編『食中毒性微生物』(1997・産業調査会、産調出版発売)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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