改訂新版 世界大百科事典 「マクリージー」の意味・わかりやすい解説
マクリージー
al-Maqrīzī
生没年:1364ころ-1442
マムルーク朝時代のアラブの歴史家。カイロに生まれ,ハナフィー派やシャーフィイー派のシャイフに師事して法学やハディース学を学んだ後,メッカに遊学,1382年にはエジプトに来住したイブン・ハルドゥーンの講義に列席して大きな影響を受けた。カイロで市場監督官(ムフタシブ)やモスクの説教師,あるいはマドラサ(学院)の教師を務めた後,1407・08年から10年間ダマスクスの病院の管理やマドラサでの教師生活を送った。17年,50歳を過ぎるころから公務を退いて著作活動に専念,豊富な経験をもとにエジプト誌を集大成した《地誌Khiṭaṭ》や,エジプト・シリアの社会生活をリアルに描いた《諸王朝の知識の旅Kitāb al-sulūk》など200余点の著作を残す。
執筆者:佐藤 次高
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報