マレルブ(英語表記)François de Malherbe

デジタル大辞泉 「マレルブ」の意味・読み・例文・類語

マレルブ(François de Malherbe)

[1555~1628]フランスの宮廷詩人古典主義作詩法の先駆者フランス語整理純化に努めた。

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精選版 日本国語大辞典 「マレルブ」の意味・読み・例文・類語

マレルブ

  1. ( François de Malherbe フランソワ=ド━ ) フランスの詩人。古典主義の先駆者。国語の純化整理、理性的な明解な表現主張。詩論書に「デポルト註解」など。(一五五五‐一六二八

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改訂新版 世界大百科事典 「マレルブ」の意味・わかりやすい解説

マレルブ
François de Malherbe
生没年:1555-1628

フランスの詩人。ノルマンディーのカン出身。詩人として名を成し始め,宗教戦争中は南フランスのエクスのアングレーム公に仕えた。1605年同郷のデュ・ペロン枢機卿らに推挙され,アンリ4世の宮廷詩人となる。当時,北フランス出身の優れた既成の詩人たちは,流行していた奇矯隠喩を好んだ詩人たちの傾向を批判していたが,マレルブはそれ以上に厳しく,既成の詩人たち,その代表たるデポルトをも強く批判するにいたった。彼は,穏健で上品な語法を貴んだデポルトらも,不正確であいまいな語法,修辞が多いとし,文学におけるフランス語を耳で聞いてもすぐわかるものとしようとした。文法的な整合を要求し,類義語を厳密に区別し,古語新語,専門語を排し,上品な語を中心に据えた。詩法の面でも句の切れ目を厳格に設定し,豊かで美しい韻律を作り上げることに努力した。詩作品ではアンリ4世の頌などで音の美しい第一等の詩人として評価され,また散文でもセネカの翻訳などを通じて散文の進歩に大きく貢献した。マレルブの厳しいフランス語法改革は,詩の面では天才的飛躍をくじく面があったが,全体としてはフランス語を近代的な思考に耐えうるものとした。明快,的確な近代フランス語確立に重要な礎石を置き,古典主義文学成立へも道を開いた。
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百科事典マイペディア 「マレルブ」の意味・わかりやすい解説

マレルブ

フランスの詩人。1605年アンリ4世の宮廷詩人となる。《マリー・ド・メディシス歓迎のオード》(1600年)など単純明快な詩があるが,古典主義に先駆する理論家として言語と詩の改革に努力,品位と正確さをもつ表現,完全押韻の必要を説き,ボアローによって〈ついにマレルブきたれり〉と称された。

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世界大百科事典(旧版)内のマレルブの言及

【詩】より

… いちはやくルネサンスに入ったイタリアでは,すでに14世紀にダンテが《神曲》《新生》を,ペトラルカがソネット形式による甘美な抒情詩を書いていたが,16世紀までには他のヨーロッパ諸国にもその影響がひろがる。フランスではC.マロがペトラルカを翻訳,この新しい抒情のもとにセーブらのリヨン派,ロンサールらのプレイヤード派が活動,豊麗なバロック詩がやがてマレルブによって厳密な詩法に整頓される。イギリスではエリザベス朝文化を代表するシェークスピアが数々の韻文劇を書いたほか,いわゆるシェークスピア風ソネットを定着させ,他方ではJ.ダンらの形而上派の詩人たちが出る。…

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