オランダ東南端の都市でリンブルフ州の州都。人口12万1456(2005)。ムーズ川に沿う。州庁や地方裁判所のほか,国立リンブルフ大学(医学部,総合科学部),建築学校,高等音楽院などが置かれている。ユリアナ運河(ムーズ川)やアルベール運河,鉄道や高速自動車道により同国の主要都市やベルギー,ドイツと結ばれ,19世紀初頭以来の陶磁器,セメント工業に加えて,電機,食品,製紙,化学などの工業も盛ん。ローマ時代から交通の要衝で,4~8世紀には司教座が設けられていた。オランダ独立戦争中(1632)にオランダに占領され,1795年までその飛地であった。1830年ベルギー独立革命が勃発すると,将軍ディベッツB.J.C.Dibbets(1782-1839)は,ここを守りぬき,同市を含むリンブルフ東部をオランダ側の手に残すのに成功した。中央広場にそびえるシント・セルファース教会(10世紀)と聖母教会(11世紀初め)は,いずれもオランダ最古のロマネスク建築である。
執筆者:石坂 昭雄
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オランダ南部、リンブルフ州の州都で、商工業都市。人口12万2163(2001)。ベルギー国境に接し、またマース川に沿うため、水陸交通の中心地であるとともに、付近の炭田を利用したセメント、ガラス、陶器、製紙などの工業が発達する。1世紀にローマ人が建設し、ローマ時代以後はフランク王国に属し、382~721年には司教座都市として発展したが、1284年からはブラバン公とリエージュ司教の二重支配を受けた。戦略上の要地であるため、たびたび攻防の舞台となり、1579年にはパルマ公指揮下のスペイン軍によって包囲、略奪された。市内に残る聖セルファース教会は、マーストリヒトの初代の司教聖セルファースの墓の上に建てられた、オランダでもっとも古い教会の一つである。1991年には、EC(ヨーロッパ共同体)の首脳会議が開催され、マーストリヒト条約(ヨーロッパ連合条約)が採択された。高級レストランの多い観光都市でもある。
[長谷川孝治]
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