1820年代に成立したアメリカの芸能。黒人奴隷の生活を類型的に描いた歌,踊り,寸劇などからなり,顔を黒く塗った白人によって演じられたが(この手法をブラックフェースと呼ぶ),後には黒人自身も演じるようになった。バージニア・ミンストレルズ,クリスティ・ミンストレルズなどの一座が有名で,ショーボートなどでも演じた。初期の最も重要な芸人はライスThomas Dartmouth Rice(1808-60)で,彼が自分の歌と踊りにつけたジム・クローという名は,ミンストレル・ショーの重要な登場人物の名となり,さらに黒人一般を指す差別的な言葉として定着した。ミンストレル・ショーに現れた黒人像は,白人大衆の恣意的想像力が生んだ現実離れしたものだが,他方,このジャンルはミュージカルの先行形態の一つとして重要である。とくにS.C.フォスターの《ケンタッキーのわが家》《オールド・ブラック・ジョー》をはじめ,ミンストレル・ショーから広まったポピュラー・ソングは多い。19世紀中葉にはいくつもの一座によって演じられたが,世紀末に至ってしだいに衰えた。
執筆者:喜志 哲雄
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…同じく先行芸術であるオペレッタと形式的には酷似しているが,題材の点でミュージカルのほうが庶民的で現実的である。他方,イギリスではミュージック・ホール,アメリカではミンストレル・ショー,バーレスク,ボードビルなどの大衆芸能にも依存して発達したが,これらの芸能が個々の出演者の芸や個々の場面によって観客に訴えたのに対して,ミュージカルは作品全体の魅力をも重視し,一貫した物語をもつ。この違いは,初期のミュージカルと並行して発展した芸能であるレビューと比べたときにも認められる。…
※「ミンストレルショー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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