ムアーウィヤ(読み)むあーうぃや(その他表記)Mu‘āwiya b. Abī Sufyān

デジタル大辞泉 「ムアーウィヤ」の意味・読み・例文・類語

ムアーウィヤ(Mu‘āwiya)

[?~680]ウマイヤ朝の初代カリフ。在位661~680。シリア総督。海軍創設地中海進出。第4代カリフのアリー対決。アリー暗殺後カリフの位につき、ウマイヤ朝を創始。カリフの世襲制を確立した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムアーウィヤ」の意味・わかりやすい解説

ムアーウィヤ(1世)
むあーうぃや
Mu‘āwiya b. Abī Sufyān
(?―680)

イスラムのウマイヤ朝の創建者(在位661~680)。メッカのクライシュ人の名門ウマイヤ家に生まれた。父は反ムハンマドマホメット)勢力の指導者アブー・スフヤーン。630年のメッカ征服後ムスリム(イスラム教徒)になり、633年、異母兄ヤズィードの軍に従ってシリア征服に向かい、各地を転戦した。639年、兄ヤジードの死でウマル1世によりシリア総督に任命され、ウスマーン時代、イスラム海軍を創設して地中海に進出した。第一次内乱では、同族の亡き第3代カリフ、ウスマーンの復讐(ふくしゅう)を叫んで第4代カリフ、アリーに敵対し、657年、アリー軍と上イラクのスィッフィーンで戦った。勝敗決せず、660年エルサレムでカリフを宣言し、661年、アリーの死でダマスカスにウマイヤ朝を開いた。諸ディーワーン(省、庁)の新設や、ビザンティン帝国への定期的遠征でイスラム国家を再建する一方で、実子ヤズィード(1世)を次期カリフに指名して、カリフ世襲制の道を開いた。

[花田宇秋]


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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ムアーウィヤ」の解説

ムアーウィヤ
Mu‘āwiya

?~680(在位661~680)

ウマイヤ朝の初代カリフクライシュ族のウマイヤ家の出身。シリア総督に任命され,カリフのアリー争い,その暗殺後ウマイヤ朝を開いた。租税庁,印璽(いんじ)庁,駅逓庁を設置し,行政機構を整備し,海軍の建設にも意を用いた。カリフの位を息子に伝えた最初のカリフでもあった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ムアーウィヤ」の解説

ムアーウィヤ
Mu‘āwiya

602ごろ〜680
ウマイヤ朝の創始者で,その初代カリフ(在位661〜680)
クライシュ族のウマイヤ家出身。ムハンマドのメッカ征服のときに改宗し,正統カリフの下でシリア派遣軍の副将として偉功をたて,シリア地方に勢力をもった。661年に第4代正統カリフのアリーが暗殺されると,みずからカリフの位につき,ダマスクスに都してウマイヤ朝を開いた。内政を整備して財政軍備(イスラーム海軍の創設など)を整え,対外的には征服事業を進めた。その子ヤジードを後継者とすることに成功し,カリフの世襲制を確立した。

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