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メキシコ革命 メキシコかくめいRevolución Mexicana; Mexican Revolution

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

メキシコ革命
メキシコかくめい
Revolución Mexicana; Mexican Revolution

狭義には,30年余に及んだ P.ディアス独裁体制の打倒を目指した F.マデロ蜂起から,『1917年憲法』が制定されるまでのメキシコで起ったブルジョア民主革命。また広義には,その後同憲法に基づく諸改革が実施され,政治体制の確立,農地改革の実行などをみた L.カルデナス大統領時代までをさす。 1877~1911年の間続いたディアス独裁時代には,外国資本の導入による近代化が目指され安定と繁栄が達成された。その反面国内の半植民地的社会経済構造が助長され,20世紀に入ると社会の矛盾が顕著となって,農民の反乱,労働者のストライキ,急進派知識人による武装闘争が発生した。 1910年の大統領選挙で政治の民主化を要求したマデロ派が「再選反対と公正な選挙の実施」をスローガンに全国的な反ディアス運動を展開した。しかし政府の妨害とディアス7選の実現により,マデロの運動はディアス独裁打倒を目指す武装蜂起へと転じ,翌 11年5月ディアスを追放。 10月マデロは大統領に選出されるが,13年2月 V.ウエルタ将軍のクーデターで失脚,暗殺された。これに対し V.カランサを中心とする護憲派がウエルタを追放した。護憲派はカランサ=オブレゴン派とビヤ=サパタ派に分裂して 14年秋内戦に入った。この内戦を通じて農地改革および社会改革の綱領を提示したカランサ派は労働者の支持を得て全国制覇へ乗出し,15年末にはアメリカ合衆国をはじめ諸外国から承認された。 16年 11月~17年1月に審議され,2月5日に公布された憲法は独立以降の懸案であった政教分離,教会資産の国有化,「水・土地・地下資源」に対する国家の根源的所有権,進歩的な労働者の権利の保障を盛込んだ革命憲法であった。この結果 26~29年には教会の復権を求めるカトリック教会の自発的聖務停止と熱狂的なカトリック教徒による武装蜂起が発生した (→クリステロの反乱 ) 。またメキシコに莫大な利権をもつアメリカ合衆国との関係はしばしば危機に直面したが,メキシコは 1930年代に外国資本が独占する石油の国有化をなしとげた。

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デジタル大辞泉の解説

メキシコ‐かくめい【メキシコ革命】

20世紀初頭、メキシコで起きた革命。1910年、F=I=マデロに指導された自由主義者が、政治の民主化、農地改革、外国資本による経済支配からの脱却などをめざして蜂起。翌1911年にディアス独裁政権を打倒。内戦を経て、1917年に民主的民族的な新憲法が成立した。

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百科事典マイペディアの解説

メキシコ革命【メキシコかくめい】

1910年―1917年メキシコで起きた民族主義的社会革命。政治の民主化を求めるマデロの指導で35年間にわたるディアス独裁政権打倒に成功。しかし,サパタ派は土地改革運動への展開を明らかにした。
→関連項目インディヘニスモオロスコカルデナス北川民次サパティスタ国民解放戦線シケイロスバスコンセロスベラクルスメキシコ(国)リベラ

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世界大百科事典 第2版の解説

メキシコかくめい【メキシコ革命】

半植民地的社会経済構造の変革を目ざして,20世紀前半にメキシコで起こった民族主義的社会革命。狭義には35年間に及んだディアス独裁体制(1877‐1911)の打倒を目ざした1910年11月20日のマデロによる武装蜂起に始まり,革命憲法が制定された17年に終結したとされる。より広義には民主的政治体制の確立,農地改革の実施など革命目標が実現されたカルデナス政権(1934‐40)の終了をもって革命は終結したとされる。

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大辞林 第三版の解説

メキシコかくめい【メキシコ革命】

ディアス独裁政権の打倒と外国資本による経済支配の脱却をめざしたメキシコの革命。1910年のマデロの反乱により開始、17年に民主的憲法が制定された。また、40年までの改革を含める場合もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

メキシコ革命
めきしこかくめい
La Revolucin Mexicana

1910~20年に起きたメキシコの民族主義革命。外国資本と大地主階級の利益を代弁するディアス独裁(1876~1911)を打倒して民主政治を回復し、あわせて従属的・非民主的社会経済構造の変革を目ざした。1900年ごろから中産階級知識人による民主化運動が強まり、とくに05年以後は彼らによる武装闘争と、その影響を受けた流血ストが続いた。10年秋、ディアス再選に反対してアメリカに亡命していたマデロが武装闘争を宣言、北部貧農出身のビリャや南部農民出身のサパタなどの協力を得て、翌11年5月ディアス打倒に成功した。しかし、メキシコ有数の大地主=民族資本家の一族であったマデロは、社会経済改革、とりわけ土地改革に消極的な姿勢を示したため、同年11月サパタは徹底した土地改革を要求するアヤラ・プランを発表してマデロ政府に離反した。このような革命勢力の分裂を利用して、13年2月ウエルタ将軍が反革命クーデターに成功しマデロは虐殺された。これに対し北東部の大地主カランサが革命再開を宣言、北西部の富農オブレゴンや北中部のビリャの軍も加わった立憲革命軍を率いて南下し、南からはサパタ派も圧力を加えた。さらに反革命クーデターを非難するアメリカの新大統領ウィルソンの介入もあって、14年7月ウエルタは亡命した。
 しかし、革命派は上流階級や中産階級を代表するカランサ‐オブレゴン派と、下層農民を代表するビリャ‐サパタ派に分裂し、三たび内戦となった。初めは後者が優勢だったが、オブレゴンは保守的なカランサを説得して土地改革や労働者の地位改善を約束し農民や労働者を味方につけ、1915年春から反撃を開始、同年4~5月にはビリャ軍に大勝した。17年2月に制定された新憲法には、土地、水、地下資源などは本来、国家、国民に所属すべきこと、公共の利益のために私的所有権は制限されうること、農地改革を推進すべきことなどが詳細に記され、外国資本所有の石油、鉱山、鉄道などの国有化にも道を開いた。労働者の諸権利が列挙され労使問題に国家が介入すべきことも明記された。新憲法に基づいて選ばれたカランサ大統領は改革には消極的で、労働運動を抑圧し、サパタを暗殺するなど農民軍への弾圧も続けた。20年オブレゴンが権力を獲得し、サパタ派やビリャ派との和平が成立し、10年に及ぶ内戦は終わったが、根本的改革は30年代後半を待たねばならなかった。[野田 隆]
『増田義郎著『メキシコ革命』(中公新書)』

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世界大百科事典内のメキシコ革命の言及

【アメリカ合衆国】より

…南西部はスペイン人,ついでメキシコ人が領有した所であった。さらに1910年以降,南西部の経済発展は新たにメキシコから多くの労働者をひきつけ,1910年に始まったメキシコ革命はその移住者の流れに拍車をかけた。安全とよりよい生活を求めて多数の貧しい農民と都市居住者が国境を越えてきたのである。…

【壁画運動】より

メキシコ革命(1911)後の新時代にふさわしい美術を創造し,革命の意義を壁画に描き,広く長く大衆の間に伝えようと考えたシケイロスリベラオロスコを中心にメキシコで興った美術運動el movimiento muralismo。メキシコ革命を記念する壁画構想はすでに1910年代からあったが,その実現は22年,時の文部大臣J.バスコンセロスによって国立高等学校の壁面が提供されたときに始まる。…

【メキシコ】より

…相変わらず先住民や混血は国内の地主や外国人企業家によって搾取され続けた。このような状況に対して起こったのが,1910年のメキシコ革命である。これは全国民を巻き込む戦争となり,その結果として,農地改革のもとになる条項や労働者の保護をうたった条項を盛り込んだ1917年憲法が生まれた。…

【ラテン・アメリカ文学】より

… 20年代以降は,詩の分野ではルイス・ボルヘス,パブロ・ネルーダ,セサル・バリェホ,ニコラス・ギリェンらによって代表される前衛詩,社会詩が主流になり,多くのすぐれた作品が生まれた。また散文の分野でも,1910年のメキシコ革命の影響を受けて,ラテン・アメリカの土着性を再認識する動きがみられ,〈メキシコ革命文学〉〈大地小説〉〈ガウチョ文学〉(ガウチョ),〈インディヘニスモ文学〉(インディヘニスモ),〈アフロ・アメリカ文学〉などの,写実主義的な土着文学が相次いで誕生した。これらの文学は,密林,大河,草原,山岳地帯,農場など,ラテン・アメリカの自然や風土を背景あるいはテーマにし,インディオ,黒人,混血など下層の人々を対象にして,現実や土着性を再検証しようとする新しい文学運動として,1920年代から50年代にいたるまで,ラテン・アメリカ文学史上で首座を占めたのである。…

※「メキシコ革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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