翻訳|Messiah
ドイツ生まれで英国に移住したヘンデル(1685~1759)の作曲。全編は2時間を超える大作で、「救世主」の意味。第2部の「ハレルヤ」の旋律はよく知られる。1947年12月にメサイアの音楽礼拝が行われた広島流川教会の主任牧師の故
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ヘンデルの宗教的オラトリオの一つ。1741年の夏わずか3週間ほどで作曲され,翌年ダブリンで初演された。全体は3部からなり,それぞれ,神の預言と救世主(メシア)の降誕,受難と贖罪,復活と永遠の生命のテーマが扱われる。テキストはすべて旧約および新約聖書の英訳からとられ,叙事的要素よりもキリスト教の救済の理念が強調されているのが特徴である。音楽的には,レチタティーボ,アリア,合唱,器楽曲などで構成されているが,ヘンデルの他のオラトリオと同様に合唱が大きな比重を占め,すばらしい効果をあげる。ヘンデルは晩年ロンドンにおいて,毎年この作品による慈善音楽会を催した。今日では,救世主降誕の第1部にちなんでクリスマスの時期に演奏する習慣がある。
執筆者:高野 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ヘンデルが1741年に作曲したオラトリオ。ジェネンズが『旧約』『新約』両聖書をもとに作成した台本により、キリスト降誕の預言からその復活までを描いている。全体は三部からなり、第一部では預言と降誕が、第二部では受難と贖罪(しょくざい)が、第三部では復活と永遠の生命が扱われる。なお「メサイア」とはヘブライ語の「メシア」を英語読みしたもので、通常「救世主」と訳されている。この作品の劇的な効果と深い宗教的感動は初演時から多くの人の心をとらえ、今日においても、もっとも人気の高い宗教音楽作品の一つに数えられている。第二部の最後を飾る「ハレルヤ・コーラス」はとくに愛好されており、ロンドン初演の際、この部分で国王ジョージ2世が感動のあまり起立したというエピソードは名高い。編成は4人の独唱者と混声合唱および管弦楽。作曲の翌年の42年にアイルランドのダブリンで初演され、その後作曲者によって大掛りな改変が施された。
[三宅幸夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ヘブライ語マーシャハ(油を注ぐ)という動詞の名詞形マーシーァハ(油注がれた者)に由来する語。救世主。ギリシア語ではクリストス(キリスト)と訳された。聖書的伝統によれば,神の介入によって変貌した歴史内世界に立てられる神の支配の代行者をいう。そして,このメシアによる終末的救済によってもたらされる新しい世界秩序の到来を待望する世界観をメシアニズムという。メシア思想は,古代オリエントの宇宙論的な世界変貌の思想を背景にもつが,とくに古代イスラエルの預言者の終末論的歴史観に基づいて成立したと説明される。…
…主な作曲家は,A.スカルラッティ,マルティーニ,N.ヨメリ,J.A.ハッセ,ハイドン,モーツァルトなどである。中でもヘンデルは,イタリア語の《復活》(1708)から英語オラトリオ《メサイア》(1742)への道を開いた。その間ドイツではプロテスタント教会音楽の中でオラトリオの独自の型が形成された。…
…その背景にはイギリスの民族主義や,貴族階級の没落と中産階級の台頭といった社会的な変化がからんでいる。有名なオラトリオ《メサイア》はアイルランド総督からの依頼によって作曲されたもので,42年彼自身によってダブリンで初演された。《メサイア》は慈善演奏会で演奏され,収益はすべて寄付された。…
※「メサイア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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