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地殻とマントルの間の境界面のこと。M不連続面、あるいはモホMoho、モホ面と略称されることも多い。1909年クロアチア出身の地球物理学者A・モホロビチッチにより発見された。この年の10月8日にクロアチアでおこった地震の走時曲線を調べたモホロビチッチは、震央距離が約200キロメートルのところで走時曲線が折れ曲がっていることに気づき、地下約50キロメートルの深さに地震波速度の不連続面があると結論した。その後の研究によりこのような不連続面が世界中で認められることがわかり、この面より上の層を地殻と定義することが一般的になった。モホロビチッチ不連続面の深さには地域差があるが、P波の速度はこの面を境に毎秒7キロメートル前後から8キロメートル前後に急増する。地域によっては、この速度の増加が比較的緩やかであるという研究もある。この不連続面の実体についていろいろな議論があったが、現在では、いわゆる塩基性岩と超塩基性岩の間の物質的な境界とする考えが一般的である。
[吉井敏尅]
地下10~数十kmの深さにある地震波速度や密度の急増する境界。M不連続面あるいはモホ面と略称されることが多い。1909年,ユーゴスラビアの地球物理学者モホロビチッチAndrija Mohorovičić(1857-1936)は,ザグレブ付近で起こった地震の走時曲線が震央距離200km付近で折れ曲がることに気づき,深さ50km付近に地震波速度の急増する面があると考えた。その後,こうした不連続面がほぼ全世界に存在することがわかり,この面より上が地殻,下がマントルと定義されるようになった。地殻主要部のP波速度は6~7km/s程度であるが,マントルに入ると8km/s程度となる。こうした速度の変化が本当に不連続的なものであるかどうかは走時曲線の解析からだけではわからないが,詳しい地震波形の解析などから,厚さ数kmにわたる遷移層になっている例も報告されている。
執筆者:吉井 敏尅
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…その結果,19世紀末から20世紀初めにかけて地球の中の地震波の伝わり方の研究が盛んになり,地球内部の地震波速度の分布が明らかにされた。地表から数十kmの深さに地震波速度が不連続的に変わる面(モホロビチッチ不連続面)が存在することや,地球に液状の核が存在することなどが発見されたのもこのころである。このように,20世紀初めの地震学といえば,地震観測に基づく地球内部構造の研究が主流であって,地震現象を物理学的に研究することはあまり行われなかった。…
※「モホロビチッチ不連続面」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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