フランスの女流作家。本姓ド・クレイヤンクールde Crayencour。1981年、女性として初めてアカデミー会員に選ばれた。ブリュッセルに生まれ、幼時から父に伴われて各地を旅行した。好んで過去の激動期を背景に選び、該博な知識と透徹した人間観に裏づけられた作品が多い。39年以降アメリカに住む。代表作『ハドリアヌス帝の回想』(1951)、『黒の過程』(1968。フェミナ賞受賞)のほか『アレクシス あるいは空しい戦いについて』(1929)、短編集『東方綺譚(きたん)』(1938初版、1976改訂版)、『とどめの一撃』(1939)、評論集『検証を条件に』(1962)、『時、この偉大なる彫刻家』(1983)、家門の記録『世界の迷路』(全3巻)など。没後、82年秋の日本滞在記を含む『牢獄巡回』(1991)が刊行された。
[岩崎 力]
『多田智満子訳『ハドリアヌス帝の回想』『東方綺譚』(1979、84・白水社)』▽『岩崎力訳『アレクシス あるいは空しい戦いについて』『黒の過程』(1981・白水社)』▽『岩崎力訳『流れる水のように』(1991・白水社)』▽『岩崎力訳『とどめの一撃』(1995・岩波文庫)』▽『多田智満子訳『火』(1983・白水社)』
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