ヨーマン(英語表記)yeoman

翻訳|yeoman

百科事典マイペディアの解説

英国の独立自営農民。中世末期の封建制の解体期から台頭し,ジェントリーと零細農の中間に位置した中産的生産者層。年収40シリングの自由土地保有者が中心。資本主義の展開にともない地主と労働者に両極分解をとげ,18世紀中葉以降の農業革命により没落した。
→関連項目分割地農民封建的土地所有

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世界大百科事典 第2版の解説

ヨーマンという言葉は,イギリスにおいて現在に至るまで,さまざまな意味を有している。(1)王や大貴族の家中に勤務し,騎士(ナイト),準騎士(エスクワイア)に次ぐ地位にある人々。(2)国王親衛隊員Yeoman of the Guard。1485年ヘンリー7世の戴冠式に際し創設され,50名から成った。1520年ヘンリー8世期に600人に増員。1669年以来,定員100人であったが,近年さらに縮減された。議会爆破と国王暗殺をねらった火薬陰謀事件(1605)以来,国王の議会出席に際し慣行として議会丸天井の捜索を行っている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

通常、「独立自営農民」と訳される、イギリスの中産農民。語源は、「若者」young manが縮まったものといわれる。14~15世紀には年収40シリング以上を有する自由土地保有農(フリーホルダー)をさした。彼らは州における議員選出権を与えられ、陪審員として地方行政に携わり、また百年戦争におけるイギリス軍の精鋭とたたえられた。この階層に、当時進行中であった封建制経済の解体に伴って上昇した謄本土地保有農(コピーホルダー)と一部の定期借地農(リースホルダー)が加わり、ヨーマンはジェントリと零細農の中間を占める広範な農民層をさすようになり、15世紀中葉にはイングランド、ウェールズの土地の約5分の1を保有した。チューダー朝以降の絶対主義時代には、農業経営や毛織物マニュファクチュア経営で頭角を現す者が出る一方、エンクロージャー(囲い込み)の進展により土地を奪われて離村を余儀なくされる者も多く、ヨーマン階層には両極分解がみられた。ことにヨーマンの中核であった自由土地保有農の没落は、18世紀における大地主の寡頭支配の強化とともにいっそう促進され、19世紀の資本制農業の確立によってヨーマンは実質的に消滅した。

[今井 宏]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (yeoman) イギリスで、一四~一五世紀の封建社会の解体期に出現した独立自営農民、もしくは中産的な農民層。ピューリタン革命の際クロムウェル指揮下の部隊を構成するなど、イギリス史上重要な役割を果たした。一八世紀後半以降、没落した。〔外来語辞典(1914)〕

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旺文社世界史事典 三訂版の解説

14世紀半ば以降に現れたイギリスの独立自営農民。社会層として総称する場合には,ヨーマンリー(yeomanry)という
厳密には「年収40シリングの土地・財産をもつ自由保有農」であるが,16世紀以降は,ジェントリと零細農民の中間に位置する広汎な中産的生産者をさすようになった。富裕・自由であり,独立独歩の精神に富み,毛織物工業をおこして17世紀半ばごろのピューリタン革命におけるクロムウェル軍の主力となって活躍した。しかし,18世紀半ばごろからの第2次囲い込み(エンクロージャー)や都市富商の土地買収などにより,資本主義的企業家に上昇した少数を除いて,その多くは都市または農村の労働者に転落した。

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世界大百科事典内のヨーマンの言及

【分割地所有】より

…しかし,parzellierenといえば土地を〈分割する〉ないし〈分譲する〉を意味することからもわかるように,〈分割地所有〉は,通常は封建的土地所有の解体から生じる農民的土地所有を指す言葉として使われる。たとえば,イギリスのヨーマン(独立自営農)の土地所有やフランスの〈農民的土地所有propriété paysanne〉,西ドイツやスウェーデンなどの解放された農民(農民解放)の土地所有などがそれである。しかし,それらのほかに,古代ローマの自営農民たちの自由な分割地所有もあれば,日本のように高度に資本主義の発展した国の農民的小土地所有や,東欧諸国のような社会主義体制のもとでの農民的所有もある。…

※「ヨーマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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