リウマチ(その他表記)rheumatism

翻訳|rheumatism

デジタル大辞泉 「リウマチ」の意味・読み・例文・類語

リウマチ(rheumatism)

関節・骨・筋肉のこわばり・れ・痛みなどの症状を呈する病気の称。古くは悪い液が身体各部を流れていって起こると考えられ、名は流れる意のギリシャ語に由来。現在は主に慢性関節リウマチをいう。リューマチロイマチス

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精選版 日本国語大辞典 「リウマチ」の意味・読み・例文・類語

リウマチ

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] reumatisch から )[ 異表記 ] レウマチ 膠原病に属するリウマチ熱、慢性関節リウマチの総称。昔はこれらを同一疾患と考えたためにリウマチと呼んだ。関節・骨・筋肉のこわばり、腫れ、痛みなどの症状を呈する。古くは悪い液が身体各部を流れていって起こると考えられ、名は流れる意のギリシア語に由来。ロイマチス。
    1. [初出の実例]「僂麻質〔レウマチ〕」(出典:病学通論(1849)三)
    2. 「僂麻質斯(リウマチ)で肩が痛むでね」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉上)

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改訂新版 世界大百科事典 「リウマチ」の意味・わかりやすい解説

リウマチ
rheumatism

リューマチともいう。古くは,体のあちこちの運動器に疼痛が多発し,その痛みや炎症の症状が移動して(流れて)いくように感じられる状態をさしていった。リウマチ性疾患という言葉は,このような移動性・多発性の運動器の疼痛を伴う疾患のほとんどすべてを含む。したがって,膠原(こうげん)病,代謝性疾患,感染症などで,このような症状をもつ多くの疾患が含まれることになる。独立した疾患として慢性関節リウマチrheumatoid arthritis(RAと略す)が記載されたのは16世紀になってからである。現在,リウマチという名をもっている単独疾患は,慢性関節リウマチのほか,リウマチ熱rheumatic fever(RFと略す)とリウマチ性多発筋肉痛polymyalgia rheumatica(PRと略す)で,このうち慢性関節リウマチとリウマチ熱が俗にリウマチといわれ,とくに前者をさしていうことが多い。したがって,単にリウマチという場合には,症状名として使用しているのか,疾患名として使用しているのか,また疾患名として使用されている場合にはどの疾患をさすのか,はっきりする必要がある。以下,慢性関節リウマチについて述べる。

リウマチ性疾患の代表であり,膠原病の一種である。有病率0.3~0.5%といわれる。発症は一般に成人以後,さらに中年に多く,女性と男性の比は5~7対1といわれるが,地区,調査方法などにより差がある。原因は不明であるが,素因(体質),老化などにウイルス感染,外来の刺激(物理的,化学的)などが加わり発症すると考えられている。免疫異常を伴うことが多いので,免疫,素因との関係が研究されている。遺伝因子の存在ははっきりしていない。妊娠中に症状は軽快し,出産後の初発,再発および症状の悪化があるので,ホルモンの影響も考えられている。また精神的ストレスが発症の引金になるともいわれている。

(1)診断 いくつかの症状,検査を総合して診断する。現在数種類の異なる診断基準があるが,一般にはアメリカ・リウマチ協会による分類が使用されている。それによると,朝のこわばり,少なくとも1関節の腫張など,11項目のうち五つ以上を満たすものを慢性関節リウマチと診断する。しかし,この診断基準の条件を満たす病気は慢性関節リウマチだけでなく他のリウマチ性疾患も入ってしまうので,これを除外することが必要で,そのための付加条件がある。慢性関節リウマチには,若年性関節リウマチ(小児期に発症し,関節外症状が比較的に多い),および悪性リウマチ(血管炎が強く,皮膚潰瘍,角膜潰瘍,出血など,これに伴う症状があり,症状が強く,予後が悪い)などが区別される。専門的には,さらに詳しい分類がされている。

(2)症状 朝のこわばり(起床時の手足,体全体のこわばった感じ)が先行することが多く,複数部位の関節炎(疼痛や腫張を伴い,ときに関節液がたまることがある)が左右対称的に発生し,移動する。関節病変は手足の指,手,ひじ,ひざ,足,関節などに多いが,どこの関節にも発生する可能性がある(顎関節,脊椎関節などが侵されることもある)。症状は,天候,気温の変化などに影響されやすく,とくに降雨前の前線通過時に疼痛を訴えることが多い。初期には典型的症状がそろわず数年後に慢性関節リウマチと診断されることもある。しかし,急激に発症することもあり,発症状況,症状の程度,予後の状態などには個人差が大きい。病勢が進むと,骨粗鬆症(こつそしようしよう)(骨がもろくなる)のほか関節の破壊また筋肉の萎縮が生ずる。病変は,運動器(関節,周囲組織,筋肉,腱など)のほか,呼吸器(肺繊維症など),消化器(口内炎など),眼(角膜潰瘍など),皮膚(無痛性で関節部伸側に多く,自然に消失する皮下結節や出血斑など)などの種々の臓器に異常を起こす可能性がある。貧血も起こりやすい。症状がすすむと,痛みからだけでなく,器質的に運動機能の障害が起こり,患者の約10%が日常生活に非常な不便を訴えるようになるといわれている(寝たきりリウマチ)。また慢性関節リウマチは,他のリウマチ性疾患を併発することがあり(重複症候群overlapping syndromeという),さらに他臓器の病変を伴うことがある。すなわち,外分泌腺の機能不全(シェーグレン症候群),漿膜炎(ライター症候群),顆粒球減少,肝脾腫(フェルティ症候群)などを併発することがある。

(3)検査と治療 炎症反応(CRP陽性,血沈亢進,補体価変化など)が活動期にあり,活動性が抑えられると正常化してくる。リウマチ反応(リウマチまたはリウマトイド因子の検出)は,陽性になるが必ずしも絶対的なものではなく,終始陰性の慢性関節リウマチ(血清反応陰性慢性関節リウマチ)もある。

 治療の基本は,日常生活での適切な環境条件の整備と,運動療法を加味したリハビリテーションをとり入れたリズムある,精神的に安定した生活を確立することである。そのほか,冷房や寒気への暴露を防ぐ,過労にならぬ,睡眠を十分にとる,バランスのよい栄養をとることなどに注意する。とくに悪い食物ははっきりしていない。薬物療法としては,消炎鎮痛剤が対症療法的に使用される。副腎皮質ホルモン剤は,使用法によっては非常に有用である。原因が不明で根治療法はないが,金製剤(注射,経口による),ペニシラミン(経口),免疫抑制および調節剤(経口,注射)などが,長期的な効果を求めて使用される。使用薬剤による副作用に注意しなければならないが,予防的な検査,服薬により防ぐことができる。慢性関節リウマチの治療は,機能障害をできるだけ防ぐために,患者だけでなく家族が一体となって日常生活のなかで適当な運動,休養などが行われる必要がある。関節破壊に対しては人工関節の手術も行われる。治療は早期に行われるほど予後がよい。全治することもあるが,再発も頻繁で長期観察が必要である。慢性疾患で苦痛があり日常生活も不自由であることが多いので,療養に迷いがでることも多いが,一貫した正しい治療が必要である。

 なお,研究のために動物で実験的に慢性関節リウマチをつくる試みがあり,これを実験的慢性関節リウマチという。アジュバント関節炎,コラーゲン関節炎などがある。類似性はあるが,ヒトの慢性関節リウマチそのものの再現ではない。
執筆者:

リウマチrheumatismという言葉は,ギリシア語のrheuma(〈流れる〉の意)からきたもので,古代医学の体液病理説にもとづいた概念である。ヒッポクラテスはリウマチ熱と痛風については述べているが,リウマチという言葉は用いなかった。はじめてリウマチという用語を使ったのはガレノスで,筋肉痛や神経痛もこのなかに加えていた。中国医学では《黄帝内経(こうていだいけい)》に〈痺症〉とあるのが,リウマチにあたる病気と考えられている。しかしリウマチに関する古病理学的資料はほとんど発見されておらず,この病気は近世以降のものではないかという説もある。万葉歌人の山上憶良が〈四支動かず,百節皆疼(いた)み〉と歌った持病は慢性関節リウマチといわれるが,あるいは変形性関節症とも考えられる。西洋では16世紀のバイユーG.de Baillou(1538-1616)が痛風とリウマチを区別したが,リウマチの病理学が解明されるのは19世紀後半になってからである。
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食の医学館 「リウマチ」の解説

リウマチ

《どんな病気か?》


〈免疫機能の異常により関節が炎症を起こす〉
 一般にはリウマチと呼ばれていますが、正式名称は「関節(かんせつ)リウマチ」です。この病気は免疫機能の異常によって関節が炎症を起こし、関節が腫(は)れたり痛んだりするものです。
 初期では、手足のこわばりやしびれを感じ、とくに朝の関節のこわばりが特徴的です。
 やがて指や手などの小さな関節に痛みや腫れが生じ、徐々に手首、肩、膝(ひざ)、足首などの関節にも同様の症状が現れます。進行すると関節が変形し、動けなくなることもあります。
 関節以外の症状では、肺、腎臓(じんぞう)、心臓、神経、目などがおかされることがあります。
 栄養状態の悪い人ほど症状もひどくなる傾向があるので、食事は、良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラルをしっかりとります。ただし肥満があると関節痛を悪化させるので、食べすぎには注意が必要です。

《関連する食品》


〈関節の痛みを緩和するビタミンC、E、セレン〉
○栄養成分としての働きから
 関節の炎症を鎮めるには、IPA(イコサペンタエン酸)やα(アルファ)リノレン酸が有効です。IPAは体内でプロスタグランジンというホルモンの一種にかわります。このプロスタグランジンには抗炎症作用があります。α―リノレン酸も、体内でIPAをへてプロスタグランジンにかわります。IPAはハマチ、キンキなどの魚の脂(あぶら)に、α―リノレン酸は、シソ油やエゴマ油に含まれています。
 関節の痛みを改善するのはビタミンCやEです。ビタミンCは痛みを抑えるステロイドホルモンの分泌(ぶんぴつ)を高めますし、ビタミンEは血流をよくすることで痛みをやわらげます。ビタミンCはコマツナ、ツルムラサキに、ビタミンEはウナギやたらこに多く含まれています。両者は連携して抗酸化作用を高めるので、いっしょに補給するようにしましょう。
 同じく抗酸化作用のあるカロテン(コマツナ、ニンジン)やセレン(ワカサギ、イワシ)もとるようにします。セレンはビタミンEとの併用で抗酸化力が増します。
 またビタミンB6(マグロ、サンマ)や乳酸菌には免疫機能を修正する働きがあり、リウマチの症状が緩和されたという報告もあるようです。

リウマチ

《どんな病気か?》


〈手足の腫れや痛み、ひどくなると関節の変形も〉
 リウマチ(関節リウマチ)は、体を構成する細胞どうし、また臓器どうしを結びつける結合組織に病的な変化が生じて起こる膠原病(こうげんびょう)です。
 最初は手足、とくに指の関節が腫(は)れて痛む、起床時に関節や体がこわばるなどの症状がみられ、炎症による発熱や倦怠感(けんたいかん)、食欲不振や体重の減少などもともなうことがあります。進行すると圧迫されやすい関節付近にしこりのような皮下結節(ひかけっせつ)ができたり、関節が変形して運動や毎日の生活に支障をきたし、心臓や肺などの機能を低下させることもあります。
 冷え症や動悸(どうき)、息切れがしやすい人に発症しやすかったり、過労やストレスが誘因になっていることがわかっています。とくに女性の発症が多く、男女比は1対4。30~50歳代で発症するのがほとんどです。
 日常の生活では、調子のよいときには筋力を低下させないように適度な運動をし、調子が悪いときには疲労やストレスを取り除くことが必要です。また、寒さによって痛みが生じたり増したりするため、体をあたためることもたいせつです。

《関連する食品》


〈炎症を抑える不飽和脂肪酸の多い食品をとる〉
○栄養成分としての働きから
 体力維持や低下防止には、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどが豊富な食品を効率よくとりましょう。とくにたんぱく質は体の組織のもととなるたいせつな栄養素です。赤身の牛肉や豚肉、乳製品などで、1日の摂取量をきちんととるようにしましょう。
 また、炎症を抑える効果があり、リウマチに効果的だとして、最近注目されているのがDHAやIPAなどの不飽和脂肪酸です。イワシやサバなどの青背の魚、シソ油などに多く含まれます。
〈骨を強化するカルシウム、鉄分もたいせつ〉
 リウマチにかかると、骨が弱くなりやすく、また治療薬の副作用として、骨がスカスカになってしまうことがあります。骨を強化するために、牛乳やサクラエビ、小魚、ダイズ製品などでカルシウムを、レバーやシジミ、ホウレンソウなどで鉄分を十分に補給する必要もあります。

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百科事典マイペディア 「リウマチ」の意味・わかりやすい解説

リウマチ

ロイマチスとも。関節や筋肉の疼痛(とうつう)を主徴とする原因のはっきりしない疾患の総称。狭義にはリウマチ熱(急性関節リウマチ)とリウマチ様関節炎(慢性関節リウマチ)をいう。後者は女性に多く,膝(ひざ),手首,指などの関節のこわばり,自発痛・圧痛・運動痛や腫(はれ)を呈し,やがて全身に広がる。発熱や貧血を伴い,進行すると関節の変形や強直をきたす。原因は未確定だがアレルギー説が有力。治療はフェニルブタゾン,金製剤,免疫抑制剤,副腎皮質ホルモン剤などの消炎薬投与,温熱療法,マッサージ,人工関節置換などの外科的療法,リハビリテーションなど。
→関連項目関節炎気候療法太陽灯熱気療法扁桃肥大冷房病

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リウマチ」の意味・わかりやすい解説

リウマチ
りうまち
rheumatism

リューマチとも表記し、ロイマチスともいう。この名称は「流れる」という意味をもつギリシア語rheumaに由来し、悪い液が脳から身体各部に流れていき、痛みをおこすと考えられたもの(古代医学の体液病理説)で、現在でも一般には、運動器(関節、骨、筋肉、腱(けん)、靭帯(じんたい)など)が痛んだり、こわばったりする病気をリウマチ性疾患とよんでいるが、これにはいろいろな疾患が含まれているので、そのうちのどの疾患であるかはっきりさせる必要がある。代表的な疾患は関節リウマチであり、膠原(こうげん)病の一つであるリウマチ熱もよく知られている。

[高橋昭三]

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家庭医学館 「リウマチ」の解説

りうまち【リウマチ】

 膠原病(こうげんびょう)といって、全身の結合組織に特有な病変をおこす病気のなかで、あちこちの関節が炎症をおこして痛み、軽快したり悪化したりをくり返しながら進行する関節炎をおもな症状とする病気を、リウマチ(関節リウマチ)といいます。
 手や足の指の関節が腫(は)れて痛み、とくに朝起きたときに、手の指がこわばって動かしにくくなるのが特徴です。
 長年にわたって再発をくり返していると、関節が変形してきます。
 治療は、関節炎の鎮静、機能の維持と変形の防止、薬物療法などが中心になります。
 詳しくは、「免疫異常の病気」の「関節リウマチ」(「関節リウマチ」)を参照してください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リウマチ」の意味・わかりやすい解説

リウマチ
rheumatism

リューマチ,リョーマチともいう。関節炎と同義に用いられることもあるが,関節だけでなく結合組織にも起り,激しい痛みを伴う炎症をいい,体の一部のことも,全体のこともある。リウマチは,ギリシア語の「流れる」という言葉から出て,痛みやはれが体のあちこちを流れ動くことからつけられた名前である。もっと広範には,リウマチ性疾患という表現がとられて,膠原病と呼ばれる結合組織の重い一連の病気を含んでいる。具体的には,急性関節リウマチ,慢性関節リウマチがおもなもので,さらに筋肉リウマチ,強直性脊椎炎,痛風などがある。

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栄養・生化学辞典 「リウマチ」の解説

リウマチ

 膠原病で,関節などの疼痛が特徴.

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世界大百科事典(旧版)内のリウマチの言及

【岩石】より

…岩石とは地球の表層部(地殻とマントル上部)を構成する固体物質である。近年は地球以外の惑星や月の表層部を構成する固体物質も岩石と呼んでいる。岩石は一般に鉱物(おもにケイ酸塩鉱物)の集合物で,かつ固結したものである。鉱物の代りにガラスなどの非結晶物質が含まれることもある。岩石は鉱物の集合物であるため不均質であり,また鉱物の種類やそれらの量比によって化学組成は広い範囲にわたって変化する。岩石はこの点で,均質で一定(あるいは一定の範囲)の化学組成を有する鉱物と明瞭に区別される。…

※「リウマチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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