イタリア北部,リミニ付近でアドリア海に注ぐ川の古代ローマにおける名称。ルビコRubicoともいい,イタリア語ではルビコネRubicone。ローマ時代にイタリアと属州ガリア・キサルピナの境をなしていた。現在のルビコネ川(別名フィウミチノ川)と同一かどうかについては議論が分かれている。古代ローマでは,軍隊がこの川を渡ってイタリア側に入るときは武装を解かねばならないとされていた。前49年1月10日,属州ガリアの長官であったカエサルはその禁を破り〈賽(さい)は投げられたjacta alea est〉の句を吐いて軍隊を率いて渡河し,ポンペイウスとの戦いに入ったという。以後,重大な決断を下して事態に対処することを〈ルビコン川を渡る〉と称する。
執筆者:萩原 愛一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イタリアの小河川。リミニの北でアドリア海に注ぐ。古代ローマ(スラ以後)ではイタリアとアルプスの内側のガリアの境界をなした。カエサルが前49年ポンペイウスを討とうとして「骰子(さい)は投げられた」と叫んで渡河した故事で知られる。
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[内乱]
前54年に,ポンペイウスに嫁した娘ユリアが死に,前53年クラッススが東方パルティア遠征で倒れると,いわゆる三頭政治は崩壊し,元老院の保守派と結んだポンペイウスとの関係も悪化する。特に前51年来,カエサルの召還,軍隊解散をめぐって,事態は険悪化の一途をたどり,前49年1月7日の元老院最終決議に対して,カエサルは,兵を率いたまま,〈賽(さい)は投げられた〉の言葉とともにガリアとイタリアの境のルビコン川を渡って,ポンペイウスを擁する元老院の保守派との内乱に突入した。首都に進撃し,イタリアを制圧したため,両コンスルおよび元老院議員の大多数はポンペイウスとともに東方に逃れた。…
※「ルビコン川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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