レアアース

デジタル大辞泉 「レアアース」の意味・読み・例文・類語

レア‐アース(rare earth)

希土類元素」に同じ。

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共同通信ニュース用語解説 「レアアース」の解説

レアアース

レアメタル(希少金属)の一種。ハイブリッド車電気自動車スマートフォンなどのハイテク製品に使われる希少資源。磁石の材料となる「ネオジム」や「ジスプロシウム」などがある。日本は多くを中国などからの輸入に依存してきたが、廃棄製品からの資源回収リサイクル技術なども急速に発達させている。(共同)

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百科事典マイペディア 「レアアース」の意味・わかりやすい解説

レアアース

金属資源の一つ。サマリウムネオジムなどの希土類元素の酸化物を多く含む。希土類元素は,スカンジウムイットリウムのほか,原子番号57のランタンから71のルテチウムまでの一連の元素を含んでいる。化学的性質がよく似ており,他の原子に比べて原子半径が大きく,岩石を構成する鉱物中に入りにくい。そのためマグマが結晶化する過程で,残液に濃集しやすく,花コウ(崗)岩に多く含まれる。レアアースの産出は中国(特に内モンゴル自治区)に偏っているが,これは花崗岩(かこうがん)の風化でできた鉱床である。レアアースを含め,チタンバナジウムニオブなどは,レアメタルとも呼ばれる。レアアースはネオジムがハイブリッド車のモーターに使う強力な磁石の原料になるなど,ハイブリッド車や液晶基板の生産など現代の基幹産業に不可欠な資源である。世界各地に埋蔵されるが,価格競争などの結果,中国が世界生産の9割を占める。2010年,中国は国内経済の発展による需要増や自国資源の保護の観点から,レアアースの輸出許可枠を前年比4割減らすことに決め,レアアース輸出規制を実施した。2010年9月に尖閣諸島問題が起きると,レアアースの対日輸出が停止する事態となった。また,欧米からレアアースの輸出停止に対する批判があがると,中国は停止の対象を欧米にまで拡大した。中国政府は禁輸指示の事実を否定し,その後,段階的に輸出停止は解除された。しかし,当初の輸出枠削減の方針に変化はなく,一連の出来事によりレアアースの中国一極への依存リスクが明確となり,世界的に供給先の多様化を模索する動きが広まった。日本は,リサイクル技術の開発や,カザフスタン,インド,ベトナムなどの調達先の確保を進め,対中依存度を下げたため,2012年には中国のレアアース価格は急落した。さらに,2012年7月日本の排他的経済水域の南鳥島近海の海底でレアアースを大量に含む泥状の鉱床があることが,東京大学・加藤泰浩教授らによって発見され,三井海洋開発と共同で深海の泥床から泥を回収する技術開発を推進することが発表された。資源量は,国内年間消費量約3万tの230倍に相当すると推定されている。深海からの泥の回収には技術的・コスト的困難を伴うが,天然資源に乏しい日本にとって朗報となっている。

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知恵蔵 「レアアース」の解説

レアアース

サマリウムやネオジム、ユウロピウムなどの希土類元素(rare earth elements)の酸化物や塩化物などの総称。元素の化学的性質が類似しており分離しにくいため、かつては混合希土(ミッシュメタル)としてライターの着火石(フリント)の鉄合金などに使われていた。近年は分離・精製技術が進歩し、蓄電池や磁石の性能向上などに利用されている。地球上の限られた地域に偏在する資源で、国際的に中国の生産シェアが非常に高く、日本も需要の9割を中国からの輸入に依存している。
希土類元素は、元素を配列した周期表の第3族に分類されるスカンジウム、イットリウムおよびランタノイド15種の、合わせて17種類の元素の総称である。これらの元素は、原子の構造上、原子核の周りを回る電子の配置に特殊性があり、他の元素にはない特異な化学的・物理的性質を有する。例えば、ユウロピウムなどの酸化物は長寿命で色温度が可変な蛍光体として、カラーテレビのブラウン管蛍光灯の3波長蛍光管に使用される。日立製作所の「キドカラー」は、ブラウン管の赤色発光体に「希土」類を使って「輝度」の高い美しい色を実現したカラーテレビという意味でネーミングされた。この他、強力な磁石の材料、フラットパネルディスプレーの研磨剤、排ガス浄化触媒、水素吸蔵合金など様々な用途の素材として活用され、今後ますます需要が増加すると考えられている。
レアアースは、18世紀に発見された新鉱物中から新たな物質として発見されたため希土類と名付けられた。セリウムやネオジムなどの地殻中の存在量は、亜鉛やスズ、鉛などと同程度と考えられており、必ずしも量が希少であるというわけではない。しかし、1980年代の中国の市場参入で価格が低迷して西側企業の撤退が相次ぎ、米国の有力鉱山が環境問題などで後に休止したことなどから、国際市場における中国による寡占が急速に進んだ。21世紀に入ってから、中国は自国の資源を保護して内需を拡大し、高付加価値製品の輸出へとシフトを図るため、レアアースの輸出について年々制限を強化している。このため、2005年頃から需要の増加も相まって価格が急騰するなど、「尖閣諸島問題に端を発した報復措置としての禁輸騒動」以前から、安定供給への懸念材料となっていた。なお、「騒動」の影響は、企業の在庫量が相当量あることや、代替技術開発の進展、中国以外の供給先の開発の進行などから最小限に留まった。
レアアースは、世界的な需給バランスの逼迫(ひっぱく)が懸念されており、日本にとっても長期的な安定確保が重要な課題だ。採掘量の多くない産業上重要な金属類であるレアメタルのうち、7鉱種については、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構によって官民合わせて60日分の備蓄が経済安全保障のために従来から行われている。政府は今後の需要拡大が見込まれ資源が特定地域に偏るレアアースやリチウムなどについても、「戦略レアメタル」と定め、「騒動」を機に代替技術・材料の開発、リサイクル、新規調達先の確保、備蓄などの対策を打ち出し、30年にはレアアースを含むレアメタルの自給率を50%以上とすることを目指している。

(金谷俊秀  ライター / 2010年)


レアアース

スカンジウム、イットリウムと原子番号57のランタン以下のランタノイド族の計17元素の総称。化学的性質が類似し分離しにくく、多くは混合希土(ミッシュメタル)として利用される。光学材料、電子材料、水素吸蔵合金などに不可欠。サマリウムやネオジムは強力磁石に必須。中国などに1万年分以上が埋蔵される。

(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「レアアース」の解説

レアアース

希土類と呼ばれる17種類の元素の総称で、地球上の存在量が少ないか、採掘が困難な非鉄金属であるレアメタルの一種。パソコンやスマートフォンをはじめとする精密機器の製造に不可欠なことから、「産業のビタミン」とも呼ばれる。例えば、ネオジムやジスプロシウムはハイブリッド車のモーターなどに、セリウムはガラスの研磨に使われる。2015年時点で世界の生産量の約9割を中国が占めていたが、18年4月、東京・小笠原諸島の南鳥島周辺の排他的経済水域の海底に世界需要の数百年分に相当する1,600万トン超が存在することが、早稲田大学や東京大学などの研究グループの調査によって明らかになった。

(2018-4-19)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レアアース」の意味・わかりやすい解説

レア・アース
れああーす

希土類元素

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レアアース」の意味・わかりやすい解説

レアアース

希土類元素」のページをご覧ください。

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