レイリー散乱(読み)レイリーさんらん(英語表記)Rayleigh scattering

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

レイリー散乱
レイリーさんらん
Rayleigh scattering

光の散乱の1つ。光の波長に比べて十分小さい微粒子によって起り,光の波長が変化しないものをいう。特に,散乱体が束縛されていない自由電子の場合にはトムソン散乱という。入射光の波長をλとすると,散乱光の強度は λ4 に逆比例する。多数の微粒子が不規則に散在するときのティンダル現象は,レイリー散乱によって説明される。また,空が青くみえるのもレイリー散乱によって説明できる。

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法則の辞典の解説

レイリー散乱【Rayleigh scattering】

波長に比べて十分小さい微粒子による光の散乱を表現する式.散乱体が振動数 ν0 の双極振動子で,ν≪ν0(ν は入射光の振動数)のときには,散乱光の強度 Is は次の式で与えられる.

ここで I0 は入射光の強度,Nme,は振動子の数,質量,電荷である.この式はよくレイリーの散乱法則*とも呼ばれる.なお ν≫ν0 の場合はトムソン散乱*である.

散乱体が波長に比べて十分小さな球(半径r)で N 個が存在しているとしたならば,入射光線に対して角度 θ で散乱される光の強度 Is(θ)は,散乱体から距離 d の点で

となる.V は球の体積,n は媒質に対する球の屈折率である.ティンダル効果*も,空の色の青もこのレイリー散乱に基づくものと考えられている.

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

レイリー散乱
れいりーさんらん
Rayleigh scattering

波長に比べて十分に小さい粒子による光の散乱。イギリスの物理学者レイリーにより初めてこの現象についての記述がなされたため、この名がある。透明な液体や固体中でもおこるが、もっとも身近にみられるものは気体中の散乱である。散乱光の強さは入射光の波長が短いほど強く、波長の4乗に逆比例する。
 地球を取り巻く大気圏に太陽からの白色光が入射すると、大気を構成している分子によってレイリー散乱がおこる。このとき、波長の短い青い光は波長の長い赤い光よりも強く散乱されるので、昼間に地上から見上げる空は青く見える。一方、夕暮れ、あるいは早朝のように、太陽が地平線の近くに見えるときは、太陽光は斜めに大気圏に入射して長距離を通過したのちに私たちの目に届く。大気を通過する間、レイリー散乱により青い光を余分に失うため、太陽は赤みの強い色調となる。この光が雲によって乱反射されて私たちの目に入ると、雲は赤く焼けて見える。これが夕焼け、朝焼けという現象である。
 また、現在の光通信が波長1.55マイクロメートル帯を利用しているのは、使用する石英系光ファイバーでは、短波長側ではレイリー散乱、長波長側では赤外吸収が主因となって損失がおこるが、全体の損失が1.55マイクロメートル付近で最小となるからである。[久我隆弘]

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