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カリブ海のジャマイカで興った新しい大衆音楽。伝統的な黒人のダンス音楽に,アメリカのソウル・ミュージックなどの影響が加わって,1960年代後半に形成された。ボブ・マーリーBob Marley(1945-81)を中心としたザ・ウェーラーズThe Wailers(のちにボブ・マーリー・アンド・ザ・ウェーラーズ)のアルバム《キャッチ・ア・ファイアCatch A Fire》が作られた72年をもって,レゲエが一定の音楽的成熟に達した年とみてよいだろう。そのころにはアメリカのポピュラー音楽にもレゲエの影響を取り入れたものが現れ始め,イギリスのロック・ギター奏者エリック・クラプトンEric Clapton(1945- )がマーリーの作品《アイ・ショット・ザ・シェリフI Shot The Sheriff》を取り上げたのがきっかけとなって,アメリカとヨーロッパでのマーリーの人気が急上昇し,レゲエは国際的に注目されるようになった。ロンドンにジャマイカ人移民が増加したこともあって,70年代後半からイギリスを本拠とするレゲエ・ミュージシャンも続出した。80年代に入ると,トーストtoastもしくはDJと呼ばれる,風刺性に富んだ,メロディのない早口言葉のようなボーカル・スタイル,ラバーズ・ロックlovers rockと称するラブ・バラッド的なものなど多様化し,世界のポピュラー音楽に広範な影響を及ぼしている。
レゲエの背景として,エチオピアの皇帝ハイレ・セラシエを救世主とみる一種のメシア信仰,ラスタファリ思想Rastafarianismが存在する。これはアフリカ回帰を基調とした民族主義だが,精神主義的傾向の強い特異な体質をもったものである。
執筆者:中村 とうよう
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