ワレサ(読み)われさ(その他表記)Lech Wałęsa

デジタル大辞泉 「ワレサ」の意味・読み・例文・類語

ワレサ(Lech Wałęsa)

[1943~ ]ポーランドの労働運動指導者・政治家。1980年、全国的な自主労組「連帯」を組織して議長となり、政府弾圧抵抗。共産主義政権崩壊後の1990年、大統領選出。1983年ノーベル平和賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワレサ」の意味・わかりやすい解説

ワレサ
われさ
Lech Wałęsa
(1943― )

ポーランドの政治家。原語に近い表記はワウェンサ。中西部のクヤフスコ・ポモジェ県ポポウ生まれ。職業学校を卒業し、1967年グダニスクのレーニン造船所電気工となる。1970年の食糧品値上げ反対ストの際に同造船所のスト委員会議長となり、グダニスク暴動に参加したが政府の圧力挫折(ざせつ)。1976年ストに参加して解雇される。1978年バルト海沿岸自由労組に参加し、1980年レーニン造船所のストを指導、早口語り口、決断の速さと行動力とでカリスマ的な人気を獲得した。同年8月全国ストを指導し、自主労組「連帯」の結成、スト権の承認、言論の自由などグダニスク21項目の政労合意を勝ち取った。同年9月「連帯」の議長に選出された。1981年(昭和56)5月総評の招きで来日。同年12月の戒厳令により拘留され、1982年11月に釈放された。1983年ノーベル平和賞を受賞。1989年限定的な自由選挙で「連帯」が圧勝し、「連帯」内閣を誕生させ、1990年大統領選挙に挑戦して当選、初代大統領に就任した。1995年の大統領選では社会民主党党首クワシニエフスキに敗れた。1998年9月、キリスト教民主党党首に就任。2000年10月の大統領選でも落選。熱心なカトリック信者。

木戸 蓊]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワレサ」の意味・わかりやすい解説

ワレサ
Wałęsa, Lech

[生]1943.9.29. ポポボ
ポーランドの労働運動家,独立自主管理労働組合「連帯」の初代委員長。職業訓練学校卒業後,1967年グダニスクのレーニン造船所の電気工となる。 70年に食糧暴動の悲劇を目撃し,76年のレーニン造船所に対する新しい抗議活動が勃発したときには,スト委員会の一員として活躍した。 78年結成のバルト海沿岸自由労組に参加し,80年には物価値上に端を発した造船所の争議を指導して,歴史的な「グダニスク合意」をかちとり,全国的規模の自主管理労組「連帯」の委員長となった。 81年 10月,全国大会で再選されたが,12月ポーランド政府の戒厳令により,82年 11月まで身柄を拘束された。 83年 12月ノーベル平和賞を受賞。 88~89年の政府と「連帯」との「円卓会議」実現に尽力し,「連帯」合法化後の 89年ポーランド初の自由選挙で「連帯」を勝利に導いた。非共産主義政権発足後 90年大統領に就任し,95年までつとめた。主著に自伝『希望の道』 Un chemin déspoir (1987) がある。

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百科事典マイペディア 「ワレサ」の意味・わかりやすい解説

ワレサ

ポーランドの労働運動指導者,政治家。正しくはワウェンサ。職業学校を卒業し,グダンスクのレーニン造船所の電気工となる。1970年,1976年の〈食糧スト〉に参加。1980年8月,レーニン造船所のストを指導,バルト海沿岸工場間ストライキ委員会委員長に就任。同年9月自主独立労働組合〈連帯〉を組織して委員長に就任,以後ポーランドの政治・経済の民主的改革の象徴的存在となり,1990年の選挙により大統領。1983年ノーベル平和賞。1995年の大統領選で民主左翼連合のクファシニェフスキにわずかの差で敗れた。2005年〈連帯〉から引退を表明。
→関連項目ポーランドポーランド統一労働者党

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旺文社世界史事典 三訂版 「ワレサ」の解説

ワレサ
Lech Wałȩsa

1943〜  
ポーランドの「連帯」の指導者。大統領(在任1990〜95)
正確な発音は「ヴァウェンサ」。グダニスクのレーニン造船所の電気工として在職中の1970年に食肉値上げ反対ストライキを指導,76年に解雇される。1980年自主管理労働組合「連帯」の委員長として政府と交渉,81年には約1年余り身柄を拘束される。1989年に合法化された「連帯」が自由選挙で圧勝し,翌90年に大統領に就任。しかし経済不振が続き,「連帯」も分裂し,1995年の選挙では敗れて辞任した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ワレサ」の解説

ワレサ

ヴァウェンサ

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