一夜漬(読み)いちやづけ

精選版 日本国語大辞典 「一夜漬」の意味・読み・例文・類語

いちや‐づけ【一夜漬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. かぶ、菜などを細かく刻み、一晩で漬けた物。はやづけ。
    1. [初出の実例]「浅きもののしなじな〈略〉一夜つけの香の物」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)上)
  3. ( 一夜附 ) 歌舞伎などで、世間で評判の事件などをすぐ脚色、上演すること。また、その芝居元祿一六八八‐一七〇四)頃から始まる。際物(きわもの)狂言。〔戯場訓蒙図彙(1803)〕
  4. 短時間に大急ぎでやる仕事や勉強。
    1. [初出の実例]「目今(めさき)新聞は、訳文(やくもん)一夜漬(イチヤヅケ)に、記載(かかれ)たりナ」(出典西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「一夜漬」の意味・わかりやすい解説

一夜漬け
いちやづけ

おもに漬物についていう場合が多い。早漬けともいう。ダイコンキュウリキャベツカブなどを、早く味をしみ込ませるため細切りにして塩をふり、よくもんで器に入れ、蓋(ふた)をして軽い重石(おもし)をする。一夜たてば食べられるのでこの名がある。さわやかな歯ざわりと色彩が楽しめる。刻んで塩もみした場合と異なるのは、塩分と重石により材料成分中の酵素が出て働き、これが味をよくするためである。また、「色はなすびの一夜漬け」の言葉もあるように、夏から秋にかけて色よく漬けたぬかみそ漬けもある。

河野友美

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「一夜漬」の解説

いちやづけ【一夜漬け】

(漬物を)一晩で漬けること。また、その漬物。[類語]浅漬け、即席漬け当座漬け

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の一夜漬の言及

【漬物】より

…また,漬込み期間の長短によって当座(とうざ)漬と保存漬とに大別される。当座漬は浅漬,早漬などとも呼ばれ,材料に風味を添えるための調理的なもので,漬込み時間が数時間から一晩程度のごく短いものは即席漬,一夜漬ともいう。保存漬は貯蔵を目的とする漬物本来のもので,とくに長く貯蔵されたものは古漬,ひね漬とも呼ぶ。…

※「一夜漬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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