中世,近世における本願寺歴代宗主(しゆうす)の庶子一族および猶子群の総称。本願寺は親鸞墓所の管理から出発した寺で,血脈によって法流を伝持していったため,はじめから強い“家”意識を持ち続けた。戦国期,本願寺は宗主とその庶子・親族団による集権的教団の形成を志向し,従来半ば独立的な地方小教団の指導者であった傍系庶子一族に,新たに一家衆の身分を与え,本願寺の下に吸収していった。彼らは時の宗主にちなんだ法名を下付され,宗主の猶子となることで“一家”を構成した。一家衆とは,広義には一門,院家(いんけ),連枝(れんし)を含み,狭義にはそれら以外の直系・傍系庶子一族を指す。より広義には非血縁坊主衆をも含むが,これは宗主と坊主衆との関係が,法名下付によって名付け親と猶子との関係になっているからである。近世過半の坊主衆が院家,余間(よま)等一家衆身分を得たのはそのためであり,この点にも“家”意識を強く持つ本願寺の特徴が看取される。
→一門衆
執筆者:金龍 静
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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