出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
愛知県名古屋市中区大須(おおす)にある真言(しんごん)宗智山(ちさん)派の寺。735年(天平7)行基(ぎょうき)の開創。稲園山正覚院長福寺(とうえんざんしょうがくいんちょうふくじ)と号した。787年(延暦6)河内権守(かわちごんのかみ)の紀是広(きのこれひろ)が7歳で死んだ愛児光麿(みつまろ)の菩提(ぼだい)のため、七区に仏閣と12の僧坊を建立した。以来、俗に「七つ寺」と称されるようになった。その後、たびたびの兵乱により伽藍(がらん)を焼失、寺基を中島郡七寺村(現、稲沢市)に、さらに清洲(きよす)(名古屋市北西)に移してのち、1611年(慶長16)現在地に移った。1730年(享保15)には伽藍ようやく調い徳川藩主の祈願所となり、1879年(明治12)智積院(ちしゃくいん)末寺となる。1945年(昭和20)3月戦災により本尊阿弥陀如来(あみだにょらい)とともに堂宇を焼失したが、さいわい脇侍(わきじ)の観音・勢至菩薩坐像(せいしぼさつざぞう)は残り、現在、国の重要文化財に指定されている。また「紙本墨書一切経」4954巻(国重要文化財)は、尾張権守(おわりごんのかみ)大中臣朝臣(おおなかとみのあそん)安長(やすなが)が亡き娘の菩提のため、能筆の人を広く探し求めて1175年(安元1)より1178年(治承2)に至る4年間に書写させたもので、現存一切経では五番目に古いものとされる。
[野村全宏]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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