三学(読み)サンガク

デジタル大辞泉 「三学」の意味・読み・例文・類語

さん‐がく【三学】

仏道修行する者が必ず修めなければならない戒・じょうの3種の実践修行。

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精選版 日本国語大辞典 「三学」の意味・読み・例文・類語

さん‐がく【三学】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。悟りを開くために必ず修めなければならない戒・定・慧の三種の実践修行。
    1. [初出の実例]「望請、制四位十三階、以三学六宗」(出典続日本紀‐天平宝字四年(760)七月庚戌)

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改訂新版 世界大百科事典 「三学」の意味・わかりやすい解説

三学 (さんがく)

仏教を修行するに際して必ず学ぶべき最も基本の修行法。すなわち戒学(かいがく),定学(じようがく),慧学(えがく)をいう。戒は禁制の意味で,身心の悪い行を抑制すること,定は心の動きを静め,精神を統一すること,慧は理性により道理をありのままに悟ることである。これらの三つは互いに不即不離の関係にあり,仏道修行にとってどれが最も大切か,大切でないかという区別はなく,また,その一つは必ず他の二つを伴って完成されるものである。この三学は修行法として最も重要であるので,それぞれの上に〈増上(ぞうじよう)〉の語を付して増上戒学,増上定学,増上慧学とも呼ばれる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三学」の意味・わかりやすい解説

三学
さんがく

原始仏教以来,仏道修行者が修すべき3つの基本的な道。戒学,定学,慧学をいう。戒学は戒律を護持すること。定学は精神を集中して心を散乱させないこと。慧学は煩悩を離れ真実を知る智慧を獲得するように努めること。戒,定,慧の三学は互いに補い合って修すべきものであるとする。すなわち,戒あれば慧あり,慧あれば戒ありなどという。この三学は大乗仏教になると基本的実践道である六波羅蜜 (布施持戒忍辱精進,禅定,智慧) に発展する。

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百科事典マイペディア 「三学」の意味・わかりやすい解説

三学【さんがく】

仏教徒の修むべき基本的修行。戒・定(じょう)・慧(え)の三つをいう。戒は身を正しく保ち,定は心を静め,慧は迷いを破り真実を知る。三蔵の律・経・論にあてられ,互いに不即不離にあると説かれる。
→関連項目修行

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世界大百科事典(旧版)内の三学の言及

【般若】より

…〈智慧〉という意味だが,仏教では単なる智慧ではなく,〈悟りを得るための真実の智慧〉あるいは〈あらゆるものごとを見通す見識〉を意図している。原始仏教およびそれを引き継ぐパーリ上座部仏教は,戒・定(じよう)・慧の〈三学〉をたてた。自らの行動を慎み(戒),自己の心をコントロールすること(定)によって,正しい見識(慧)が生じ,安らぎ(解脱=涅槃(ねはん))にいたると説く。…

【仏教】より

…修行の基本は八正道で,そのあり方は中道と称されたが,具体的にはほかにも種々の徳目が挙げられ,それらを合わせて,三十七覚支(かくし),すなわち37種の菩提を得るための手段と呼ぶこともある。 またそれらをまとめると,戒・定・慧の三学におさまる。戒の基本は〈諸悪莫作,諸善奉行,自浄其意,是諸仏教〉(諸悪をなすな,諸善をなせ,自ら心をきよめよ,これは諸仏の教えである)と示されるとおりで,戒を守ることは入門の条件,修行の前提である。…

※「三学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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