デジタル大辞泉
「三曲」の意味・読み・例文・類語
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さん‐きょく【三曲】
- 〘 名詞 〙
- ① 邦楽用語で、三種類の楽器の合奏という意味。実際には、古くは、三味線・琴(こと)・胡弓に、のちには、三味線・琴・尺八に限っていわれた。それらの楽器そのものをもいうことがある。
- [初出の実例]「すべて三きょくも、ふきぐみより出ると心得る事、初心のおぼへてよきことなり」(出典:随筆・独寝(1724頃)上)
- 「彼方の琴に私の三味線、御前も今から尺八の稽古して、三曲でも合はせて遊ばば」(出典:三人妻(1892)〈尾崎紅葉〉前)
- ② 重要で格式の高い三つの曲をいう。琵琶では流泉・啄木・楊真操(ようしんそう)、箏曲で四季の曲・扇の曲・雲井の曲、謡曲で初瀬六代・東国下・西国下などをいう。
- [初出の実例]「延喜第四の王子蝉丸の関の嵐に心をすまし、琵琶をひき給ひしに、博雅(はくが)の三位と云し人〈略〉立ち聞きて彼の三曲を伝へけん」(出典:平家物語(13C前)一〇)
- ③ 連歌での重要な秘伝的故実三つをいう。一句の初(五)・中(七)・末(五)の修辞・措辞。また、耳(古歌、本説に暁通して寄合とする)・心(付合のとりなしと作為)・詞(表現・修辞)の三つをいう。〔古今連談集(1444‐48頃)〕
- ④ 蹴鞠(けまり)で、高度な三種の技の三つ。特に飛鳥井流で重視される、帰足(かえりあし)、延足(のびあし)、傍身鞠(みにそうまり)の三つのこと。〔内外三時抄(1291頃)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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三曲 (さんきょく)
日本音楽の種目名。楽曲分類名称としても用いられる。近世邦楽において3種の楽器による合奏形式を〈三曲〉という。箏,三弦(三味線),胡弓,または箏,三弦,尺八の合奏を一般にいうが,箏,胡弓,尺八の合奏なども〈三曲〉と称された。明治維新以後,地歌・箏曲の合奏に尺八を加えることが多くなり,この合奏形式による音楽を総称して〈三曲〉というようになった。また伝承上格式が高くて重要な楽曲三つをとりあげて〈三曲〉と称する。平安時代の琵琶の独奏曲《流泉》《啄木(たくぼく)》《楊真操(ようしんそう)》,平曲の《剣の巻》《宗論》《鏡の沙汰》,能の《初瀬六代》《東国下》《西国下》,箏曲では八橋検校作品中の《四季曲》《扇曲》《雲井曲》が〈三曲〉として特別視される例である。
執筆者:三谷 陽子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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三曲
さんきょく
日本音楽の用語。 (1) 伝承上の重要な格式の高い曲を3つ並べた楽曲分類名称。 (a) 平安時代の雅楽の琵琶独奏曲『流泉』『啄木』『楊真藻 (ようしんそう) 』。 (b) 平曲の大秘事の『剣の巻』『宗論』『鏡の沙汰』。 (c) 能の蘭曲の『初瀬六代』『東国下』『西国下』。 (d) 箏曲組歌奥組の『四季の曲』『扇の曲』『雲井の曲』。 (2) 箏を含む音楽で,3種の楽器を合奏させる形式。天明5 (1785) 年に箏・胡弓・尺八の合奏をいった例もあるが,一般には箏・三弦・胡弓,または箏・三弦・一節切,または箏・三弦・尺八の合奏をいう。万歳では,三弦・胡弓・鼓の合奏を三曲万歳という。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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三曲
さんきょく
日本音楽用語。一般的には、特定の3種の楽器による合奏形態をさし、これを「三曲合奏」ともいう。現在は普通、箏(こと)、三味線、尺八の3種の楽器を用いるが、江戸時代には尺八のかわりに胡弓(こきゅう)や一節切(ひとよぎり)を用いることが多かった。三曲合奏では、同種の楽器を複数の奏者が奏することもあるので、いわゆる三重奏とは意味が異なる。また「三曲」という用語は、現代では地歌(じうた)、箏曲(そうきょく)、尺八楽を総称するジャンル名としても用いられており、たとえば「三曲界」「三曲家」「日本三曲協会」などはその用例に属する。
[千葉潤之介]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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三曲【さんきょく】
日本音楽用語。(1)3種類の楽器による合奏。現代では箏と三味線と尺八の合奏が最も標準的。江戸時代には尺八ではなく胡弓を用いた例が多い。〈三曲合奏〉とも。(2)箏曲,地歌,尺八,胡弓などの音楽の便宜的総称,またその楽界。(3)ある種目や曲種の伝承において,最も重視される3つの楽曲の総称。雅楽の琵琶独奏曲の《流泉》《啄木》《楊真操》,箏曲の《四季の曲》《扇の曲》《雲井の曲》など,用例は数多い。
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