日本音楽用語。地歌、箏曲(そうきょく)の曲種名で、それぞれ「三味線組歌」「箏(こと)組歌」とよんで区別しているが、通常「組歌」というと後者をさす。いずれも日本における最古典の歌曲であるが、音楽的性格は異なる。既存の小編歌謡の歌詞をいくつか組み合わせて一曲にし、三味線あるいは箏の伴奏で歌うので組歌といわれるが、のちにはこの形式に従って組歌として作曲されたものもある。
組歌は、本来は盲人音楽家の職格のための必修曲であり、その伝授段階あるいは免許取得段階として、三味線組歌は表(おもて)組・破手(はで)組・裏組・中組・奥組、箏組歌は表組・裏組・中許(なかゆるし)・奥許・秘曲などに組分け(分類は流派により多少異なる)されたので、この意味でも組歌という(この意味での組歌は胡弓(こきゅう)楽にも存在する)。この場合の箏組歌には、歌のない段物なども付物(つけもの)として含まれる。
現在の地歌、箏曲の諸流派は、元来はそれぞれの組歌の伝承経路を示すものであり、地歌においては寛永(かんえい)(1624~44)ごろまでに成立した表組をはじめとする三味線組歌(三味線の伝承規範曲という意味で「三味線本手」ともよばれる)の伝承系譜をもって、柳川(やながわ)流と野川流に分かれる(ただし曲目に異同がある)。また箏曲においては八橋検校(やつはしけんぎょう)が慶安(けいあん)(1648~52)ごろに完成した八橋十三組(『菜蕗(ふき)』『梅が枝(え)』ほか11曲)の伝承を諸流派の始まりとしているが、その後も組歌の作曲が諸検校によって行われ、江戸中期には新作がいったん禁止されたともいわれる。江戸末期になると組歌の創作は少なくなったが、そのなかで光崎(みつざき)検校の天保(てんぽう)組(『秋風の曲』のこと)や、吉沢検校(2世)の古今組(『千鳥の曲』など5曲)など、異系統ではあるが、組歌形式の楽曲もつくられている。
[由比邦子]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…邦楽の分類用語。とくに箏・三味線の組歌の分類に用いる。組歌は箏・三味線ともに伝承教習上の規範曲として重要視され,楽曲の構造,風格,難易度などにより分類されるようになった。…
…狭義には,雅楽の箏に対して,近世以降の箏伴奏の歌曲と,それに付随する器楽曲をいい,最も狭義には,盲人音楽家を伝承・教習の中心として普及し,地歌と関連して発展してきた芸術的な室内音楽をいう。
[歴史と分類]
寺院芸能の一つとして行われていた〈越天楽歌物(えてんらくうたいもの)〉の類の歌曲を,組歌形式の箏伴奏のものに編集したのは,筑紫善導寺の僧の賢順であった。以後,この歌曲を,〈筑紫箏(つくしごと)〉ないし〈筑紫流箏曲〉といった。…
※「組歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新